2012年08月30日

醤油について

お米に続いての今日の話題は日本の伝統的な調味料 そしておふくろの味のベースでもあります醤油についてのお話です。
少し長い文章になりましたので お茶時などのタイミングでお気楽にお立ち読み下さい。
大豆が主原料で小麦と麹菌 そして食塩水が基本の材料です。
この材料の加工法や配合比そして熟成の度合い等で 夫々特徴の違った種類に分かれます。
近年はグルメや健康志向の傾向とも相俟って 益々種類も増えているようでありますが 何れも空気に触れることにより酸化してしまいますので 残り少なくなった大瓶の醤油は 小瓶に移し替え蓋を捻って口をキッチリと閉め 冷暗所で保管するように心掛けておくと良いですね。
製法は材料を麹菌で発酵させてつくりますが 基本は料理に使えば塩味と共に 独特の旨味に色や香り付けが出来ます。
それ以外にも肉や魚の生臭みを消したり 殺菌そして保存性を高めるといった効果もあり 夫々によく使い分けられているところであります。
それでは先ず濃口醤油ですが 通常,醤油と言えばこれを指すくらい 全体の85%を占める醤油で 卓上調味料としての使い方を含めオールマイティーです。
この中には加熱処理をしない生醤油 そして塩分を半分に抑えた減塩醤油も含まれますが この2種の醤油は冷蔵保存が必要です。
全国各地で生産されていますが 味や製法などは夫々の地域性が反映されていますので 味比べもよろしいかと存じます。
次は薄口醤油です。
製法は濃口とほぼ同じで 薄口となっているのは塩分濃度ではなく(塩分は濃口より寧ろ1割ほど高め) 色や香りが抑えられたという意味で 熟成期間も短めです。
発祥は兵庫で関西地方でよく利用され 色が薄いので他地域でも素材の色や香りを生かしたい料理に用いられます。
次は溜り醤油ですが トロリとしたコクがあり色も濃く 独特の香りを持っています。
産地は当県も含め東海地方に多く 当地では刺身の付け醤油としても利用しますが 主には焼き物,煮物など照りやコクを出す料理に使われます。
この醤油は豆味噌の製造過程で分離した液から出来たと言われ 醤油の原点とも言えるのではないでしょうか。
最後は白醤油ですが 薄口よりも更に淡い琥珀色で 大豆よりも小麦を多く使い糖分も他の醤油より高く 香りも独特です。
使い道は出汁との相性が良いので 卵焼きや茶碗蒸しそして吸い物などに適しており 料理の隠し味としても用いられます。

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2012年07月11日

カジキ

子供の頃 あのヘミングウェイの名著「老人と海」を被り付いて読んだ記憶があります。
その頃は小説を余り何度も読み返すことのない私でありましたが 悲劇的なストーリーに感動したのか 何度も読み返したことを覚えています。
カジキと言えば今でこそスポーツフィッシングの対象となっている魚でありますが この老人にとっては当に生活そのものであったわけで しかもその上サメが相手ともなるのですから 子供心にもサスペンスの臨場感が弥が上にも駆り立てられたのでありましょう。
さて今日の話題は この一方の主役でありますカジキを採り上げます。
私と致しましてはマカジキ,メカジキ,バショウカジキぐらいしか存じませんが 大型種ともなれば全長4m程にもなり体重も何と700kgを超え しかも水中でのスピードが時速100km超というチーター並みの最速スプリンターでありますから その魚を相手にした時の格闘(この部分が微に入り細に入り 克明に描写されていたように思いますが)たるやさもありなんと言えるのではないでしょうか。
また話題を逸らすようですが この巨体は一体何人の胃袋を満たすのでしょうか など暇潰しの疑問ももたげて来ております。
キューバのハバナに移り住んだといわれるヘミングウェイは 大変な酒豪でもあったようですが あの身体でありますから 白身のカジキ料理を肴に好物のフローズンダイキリの盃を何枚も重ねて 小説の構想を練り上げていたのかも知れません。
勿論こんな大きな魚 鮮魚売場にそのまま並べられることはありませんから 私は切り身でしか見た事がありません。
そして大型の魚にしてはその運動量の所為か余り大味ではありませんが 私は好んで食べる方でもありません。
現在でも一般的にはそれ程水揚げされることもなく また養殖ともなればこれはもう殆ど不可能に近い魚ですから 食糧難の解決にもほど遠く そしてマダマダ大衆魚という訳には参らない魚ですね。

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2011年11月11日

ムカゴ

ご存知の方も多いと思いますが 自然薯や長芋などの山芋の地上の葉の付け根に出来る 1cm程の小さな球状の芽をムカゴと言います。
本来は種芋として蒔かれるのですが この小さな粒の一つ一つに山芋の養分が凝縮され 独特の味と香を持つため食用としても利用されています。
蒸すと指でツルンと皮が剥け 噛めばトロっとした上品な味わいです。
塩茹でしたり,蒸したりでそのまま召し上がれますが 吸い物や味噌汁の椀ヅマにしたり 田楽や揚げ物など多彩に調理されます。
中でもご飯と一緒に炊き込むムカゴご飯が 秋の味覚の中でも一番と仰る方も多いようであります。
この山野に自生する芋を山芋と呼ぶのに対し 里で栽培されてきたところから 里芋の名が生まれたとされる説があります。

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2011年10月23日

デザートのマナー

コース料理が全て出された後の締めくくりは デザートです。
ここではデザートによく使われる物の 戴き方をご紹介しましょう。
余計なお世話などと仰らないで下さいね。
先ずはアイスクリーム。
ウエハースなどが添えられていることがありますが これは冷えた舌の感覚を呼び覚ますために添えられているものですから アイスクリームと交互に戴きましょう。
決してウエハースをスプーン替わりに使わないようにして下さい。
次はメロン。
どちらも基本はナイフとフォークを使います。
フォークで左端を押さえ ナイフで左端から一口大に切ってフォークで戴きます。
ブドウなどの小粒のものは一粒ずつ手で摘み 皮と種は左手で口を覆い右手で受けてお皿の隅にまとめて置きます。
コーヒーは原則 受け皿を持ちません。受け皿を持つのはビュッフェ形式であったり 別室のソファー掛けの時に限ります。
退席は ナプキンをテーブルの左側へ軽くたたんで置き 椅子の左側より退席します。

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2011年10月13日

四君子

割山椒とは秋に山椒の実が熟して爆ぜ びっくりした様なたような形をして 小付や小鉢や向付など その形状の面白さから比較的よく食器としても愛用されていますので 恐らく見かけられた方も多いことかと存じます。
この割り山椒。
本来ならば秋の器ということになりますが 今では時とわずで使用を許された器となっていますから 尚更見かけるチャンスも多いことでありましょう
そして割り山椒という形状同様に 四君子の図柄も四季問わず用いて良いとされるとても重宝なものであります。
この図柄は中国でも我が国でも 高潔な美しさが君子を思わせるとの事から 水墨画などの題材に好んで使われたという経緯がございます。
そうした傾向は器づくりの世界にも影響し 器のモチーフとしても多用されることになったのでしょう。
尤も四君子とは蘭(春),竹(夏),菊(秋),梅(冬)のことで 四季を全て網羅しているのですから 時知らずに使えるというのも当然のことなのですね。

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2011年09月23日

ブイヨン

日本では出汁 アメリカではスープストック そしてフランスではこのブイヨンです。
煮込み料理や スープにソースなどのベースとなる出汁であります。
出汁のとり方は様々ですが 基本的なブイヨンは 牛スネ肉に鶏ガラや牛骨を合わせて 煮立った湯に入れサッと茹でてザルに上げ水洗いします。
そして再度鍋に入れて 水を注いで煮立てます。
煮立ったところで弱火に落としアクを取り タマネギ,ニンジンなどの香味野菜と ローリエ,パセリなどの香草を加えて 1時間ほど煮出します。
これを再びザルに上げて漉し 出汁材料を取り除きます。
更にもう一度クッキングペーパーなどの目の細かなもので漉しますと 澄んだ綺麗なブイヨンになります。
この他 魚介を茹でるため 香草や香味野菜を短い時間で香り良く煮出したクールブイヨンや 野菜スープ用の同様の出汁材料を ジックリ煮出したブイヨン・ド・レギュームなどがあります。

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2011年07月23日

肉詰めピーマン

私の子供の頃などはピーマンは今程大きくなく 皮も厚くない小振りのグリーンしか知りませんでしたが 近頃は赤,黄,オレンジなど たいへんカラフルになってまいりました。
その上大きくて 切ってみると皮が厚いのです。
調べてみるとグリーンは未熟期に収穫したもので 品種によって熟すとこの色に変色するのだそうです。
そして以前と違うところは 青臭さも苦味も少なくなり サラダなど生でも食べられるようになったことですね。
そうしてもう一つ 大きくて皮が厚いので肉詰めピーマンには こちらの方が向いています。
ではピーマンの苦手なお子様も これなら食べちゃうという肉詰めピーマンの 肉離れしにくいコツを伝授しましょう。
それはつなぎの小麦粉を 少し多めにすることです。
そしてピーマンと詰める具の間に 隙間をつくらないよう確りと詰めることです。
生憎 小さなピーマンしか手に入らなかった場合は 縦割りしないで一個ごと使うため ヘタの付いた上部を切り落とし(種はもちろん取り除きますが) そこから中に具を詰めてみて下さい。
これだと肉離れは起こさない筈ですが 肉が厚くなった分焼き上げるのに時間がかかります。

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2011年06月28日

ホームフリージングについて

買ってきた食材を使い切る 或いはつくった料理を残さず食べきる ということは結構難しいことですね。
そうでなくとも気に入った食材や料理なら ついつい余分に買ったりつくったりするものです。
安売りしていたからというのも 理由となるかも知れません。
そんな時に必要なのがこのホームフリージング。
その際気を付けたいことが幾つかあります。
先ずは鮮度 食材なら買いたて 料理ならつくりたて 古くなった材料やつくり置きしたものは長持ちしないので フリージングしても要注意であることを先ず念頭におきましょう。
ですから要はフリージングを過信しないことが肝要ですね。
方法としては加熱したものは 一度冷ますか 冷蔵庫で冷してから冷凍します。
また肉や魚は素早く冷凍するのが 味を保つ秘訣です。
その為には冷凍庫の下段の一番奥が適当で 更にアルミトレーにのせればベストです。
そして出来るだけ早く凍らせるためにも また冷凍,解凍を繰り返さないためにも 均等に小さく薄くそして平らに切って 小分けしておくのが基本です。
そして空気に触れると 食材が酸化して質も落ちてしまいます。
ぴっちりラップで包み 更に空気を抜きながらチャックポリの袋へ入れて 食品名と冷凍した日付を記入して保管します。
そして要注意なのは 再冷凍もご法度です。
また冷凍保存にも賞味期限がありまして 市販品の冷凍食品はマイナス18度を基準に期限を算出してますが 家庭の冷凍室では庫内の温度はそんなに低くありませんから 半月から3週間程を目途に使い切ってしまいましょう。

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2011年06月15日

トリッパ

反芻動物である牛は 4つの胃を持っていますが 第一胃袋(ルーメン俗称ミノ)と第二胃袋(ハチノス)は反芻するための一時貯蔵所といった役目で 本来の胃の役目である消化液を分泌して消化する胃は 第三胃袋(センマイ)と第四胃袋(ギアラ)の二つであります。
この4つの胃袋を総称してトリッパと呼んでいますが 取り分け第二胃袋であるハチノスが イタリア,フランス,韓国,中国などでは 煮込みや炒め物にスープなどに多用される食材となっています。
反芻により発酵した消化物の通り道となるため 特有の臭みがありそのままではとても食べられません。
ですから一般消費者向けのハチノスは 一度茹でて臭みを抜いた状態で販売されていますが 買われましたら再度お家で香味野菜と一緒に茹でて 下処理したほうが賢明なようであります。

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2011年05月26日

ミネラルについて

動植物を構成する凡そ30の元素の中で 酸素,窒素,水素,炭素以外のものをミネラルと呼んでいます。
或いは灰分,無機質とも呼ばれているのですが 何れも体内で重要な生理作用を受け持っている物質であります。
然しながらこれらの物質は 何れも人間が体内で合成することが出来ないものばかりで 食事による補給という手段でしか摂取の方法はないのです。
その主なものを列挙しますと カリウム,カルシウム,ナトリウム,マグネシウム,鉄,リンなどが挙げられます。
これらのミネラルは 何れも人の身体維持に必要不可欠なものばかりですので どんな食品に多く含まれているのかリストアップしておくことと致します。
どうぞご参考にして下さい。
先ずカリウム バナナ,トウモロコシ,そしてピスタチオ。
次にカルシウム 煮干,チーズ,胡麻,ひじき,牛乳など。
次はナトリウム 食塩,味噌,醤油など
次はマグネシウム 魚介,牛肉,豚肉,鶏肉,ホウレン草など。
次は鉄 レバー,ホウレン草,海苔,ひじきなど
最後はリン チーズ,卵黄など
こうして列挙致しますと 人間の身体維持も大変なことなのですね。

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2011年05月02日

寿亭100周年記念企画

当ブログの右側でもご紹介させていただいております寿亭100周年記念企画が、寿亭『水雲閣』で開催中です。新緑の気持ちいいこのGWに是非お出かけ下さい。
  

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2011年03月21日

雉子焼き

雉子は日本の国鳥でありながら狩猟の対象にもなっている鳥で 昔から「雉子も鳴かずば射たれまい」と言われていますように 美味しい肉は大変なご馳走であったのでしょう。
私は食べたことがございませんが 何だか人間の身勝手さをこの鳥に押し付けたようで 気の毒になってきます。
キジ焼きは本来文字通り キジ肉を白く焼いたご馳走でありましたが これを寺院の精進料理に取り入れようとして豆腐を選び キジ肉のつもりで食していたようであります。
以来 キジ焼きと言えばこの焼き豆腐料理を指すようになったのですが 今では出来るだけキジ肉の味に近づけようというのでしょうか。
鶏肉や鴨肉といった鳥肉に加え マグロやカツオにブリといった魚肉などを 醤油と味醂のタレに漬け 照り焼きした料理へと変容しているようであります。

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2011年03月12日

酢について

一旦米などの穀物やブドウなどの果実を アルコール発酵させてお酒にしたものに 更に酢酸菌を加えて発酵,熟成させますと 酸味の強い酢が出来ます。
英名はビネガー 酸っぱいワインという仏語が語源で このワインの他シェリーなどのお酒を酢酸発酵させてつくります。
元の原料は穀類では先の米の他 小麦やトウモロコシ 果実では他リンゴなどが代表的なものであります。
酢の効用はいろいろ知られていますが 調理に酸味を加える他 生の魚介によく使われる酢締めや酢洗いなどは酢の持つ殺菌効果を狙ったものであります。
またこの酸味によって油のしつこさを和らげて食欲の手助けをしたり 酢水で晒してアクを抜くゴボウやウドにも酢は必須です。
他にも酢の持つ力は いろいろ知られるようになって参りました。
さて 先程ビネガーについて少し触れましたが この酢は和洋ばかりでなく 中華においても多用され酢豚などの炒め物や和え物など また隠し味としても欠かせない調味料であります。
更に醤油や塩に砂糖など 他の調味料と組み合わせることにより 二杯酢,三杯酢,甘酢といった合わせ酢がつくられ より一層の深みのある味わいの調味料となります。

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2011年02月27日

白ネギ

冬は鍋物,串焼き,薬味になどなど ネギの出番は結構多いですね。
関東で多いのが白ネギ。
深谷ネギや下仁田ネギといった 産地の名前を付けたネギもありますね。
産地の名前を冠するのは きっと町興しの一環なのでありましょうか。
この白ネギは栽培中に土寄せして 日光に当たらないように育てます。
そうしますと 根の白い部分が長く太く柔らかになります。
生は辛味が強いのですが 加熱しますと甘味が出て食べ易くなります。
そしてネギは料理によっても 切り方が色々変る野菜ですね。
斜め切りは炒め物やスキ焼に ぶつ切りすればお味噌汁に 細かな千切りならば白髪ネギとしてなどなど。
それだけ色々な料理に使われ身近にあって重宝な野菜なのですが 近し過ぎて有り難さがお座成りにされている野菜であるともいえますね。
残念なことであります。
是非つくり手の愛情を感じつつ 味わいたいものでありますね。

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2011年02月17日

器の安全性

安全であったはずの食品が ここへ参りまして再びとても身近で重要な問題として浮上し 社会全体から大変危惧されています。
法を犯すことは元より言語道断でありますが ではその食品が直接触れる器は大丈夫なのでしょうか。
他山の石としなければなりません。
特に派手な原色を多用する中華食器は 数年前にも中国産の麺鉢から有害金属の溶出という報道があり この顔料に配慮を怠ってはなりません。
先ずこの有害顔料を使用しなければ問題ありませんが 筆頭に挙げられるのが「有鉛顔料」で この顔料は酢やレモンといった酸性食品により 鉛が溶け出してしまうという危険性を持っています。
国内では現在全てのメーカーが無鉛顔料を使用していますので 問題が生じることは先ずあり得ませんが 一方 絵付け方法によっても安全性が確保できるようになっています。
この絵付け方法とは アンダーグレーズ(下絵付け)とイングレーズという二つの絵付け方法です。
アンダーグレーズとは 施釉前の素焼亦は〆焼素地に絵付けする方法で 絵付け上に無色透明な釉薬を施しますので 顔料は釉薬層の下部に位置し表面に出ることはありません。
この方法は上絵付けよりも顔料の色の制限を受けますが(この代表的なものは呉須と呼ばれる 藍色の下絵で染め付ける手法です) この方法ですと下層部の絵柄が剥離してしまうこともありません。
お店でご確認のうえ お買い求め下さいますようお願い申し上げます。

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2010年11月04日

オヒョウ

漢字では大鮃と書きオオヒラメとも呼ばれていますが 両目の付き方がカレイと同じで 頭を右に向けると表に出てくるのでカレイの仲間であります。
しかしこの魚体は体長2m 重さ200kgを超えたものが捕獲されたという記録もあり 最大級の魚の一つであることに違いありません。
棲息海域は北太平洋(特に北米の大陸棚)という冷たい海域だそうで 北米ではこの釣りが冬場の人気スポーツとなっているようであります。
この大きさ故暴れると大変危険で 事実この尾びれで叩かれた釣り人が死亡した例もあり 銃を持参の釣りとなっているようであります。
当然ながら一般市場では全容でお目にかかることはなく 切り身で流通していますが 大味なところは致し方なく それでもカレイやヒラメに似て淡白な味だそうで フライやムニエルなどに調理されているそうであります。

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2010年10月10日

上海ガニ

昨日香港からの報道でラジオから 上海ガニの話題が報道されていました。
本当の名は中国モクズガニと申すそうでありますが 上海近郊の淡水湖に多く棲息するため こう呼ばれているのだそうであります。
日本にも生きたまま暴れないよう 足とハサミを縛って空輸されて参りますが 近年生態系の乱れを起こす恐れが懸念され 輸入及び流通経路が大変厳しく規制されています。
繁殖力が旺盛と言うより 他国の事情を鑑みて他の生物への影響が大きいと判断され 特定外来生物に指定されているようであります。
勿論 個人での生きたままの持ち帰りは許されていません。
こうなりますと 余計に食通の方は食べたくなるのでしょうか。
然程大振りなカニではありませんが 知る人ぞ知る肉は淡白で上品 ミソは濃厚な旨味を持っており 一度口にしましたら忘れられないと申します。
秋が旬で生きたまま老酒に漬け 酔っ払いガニにして中国黒酢ベースのタレで戴くという食べ方もあり また蒸し上げる場合も手足を縛り 暴れて白子や卵を落とさないよう調理します。
この生きた上海ガニの甲羅は青緑の色をしていますが 加熱しますと鮮やかな柿色となり これも食欲をそそるようであります。

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2010年07月30日

街づくりの視点

日本全国どの都市も中心市街地は地盤沈下を来たし 商店街が大変苦戦を強いられていることは以前にも述べて参りました。
今でも勉強会や研修会など活発に開かれていますが 一番問題なのは私自身も含めて地元経営者の意識の低さと申しますか 自分達が住んで商いをしているこの街をどうしていきたいのか 或いは将来はどうあるべきなのかという ビジョンが欠落していることにあるように思います。
同時に自分達の街は自分達の手でという意欲が必要だとも思われますが 他方チームワークとなりますと これまた夫々の思惑が頭をもたげ 揚げ足を取ったり取られたりとなかなか意思統一が図れません。
どんなことでも全体の合意形成は不可能なことでありますので 指導者の資質と申しますか 指導力と申しますか これが問われるところでありますが 指導者一人の問題にしてしまってはこれも責任転嫁であります。
歴史を鑑みましても 商店街は辛うじて商人の集合体という体裁はあるものの 殆ど自然発生的に或いは寄らば大樹的に発生したもので 統一された目的を持ってつくられた組織とはここがおおいに違っています。
そして引っ込み思案な方などは その逆のケースですっかり遠慮してしまっています。
否 街を見切ってせっせと個人に走っています。
皆がこんな気持ちになってしまっては 当然ながら街の存続はあり得ません。
申しあげるまでもなく 街を構成する人の問題が一番厄介なテーマとなっているのです。
しかしこの問題をクリアしない限り 行政の支援はおろか全く前へ進むことは出来ないのであります。
今一度商店街のみならず来街される方たちを含め 全ての人たちが自分達のこの街をどうしたら良いのか 真剣に考えそして出来るところから実践してみるべきでありましょう。
それも出来るだけ早期に。

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2010年07月25日

使い方をデザインする

私たちの身の周りの食器たちは 飯碗,汁椀,ボールに小皿などと呼称が付けられていますが これは商品管理の都合で便宜上名付けられたものであり 汁椀だからといって味噌汁専用の器なのだという規定は何処にもないのです。
茶ソバを入れようが 煮物鉢やサラダボールとして使おうが 一向に構わないのです。
お盆にしても然り。
運び盆という言葉がありますように 本来は料理や食器を運ぶための道具であるのですが 私たちは経験上これをテーブル代わりにしてしまうことはよくあることです。
また迎春用の重箱にしても然り。
以前にも申し上げましたが これを普段の弁当箱としてサンドイッチなどを詰めてもよく似合います。
純和風が洋風弁当にも生かせるのです。
そしてパンがパサパサになったり ベットリすることもないという実利性も兼備しているのです。
このようにもっと自由な発想で食器を使いこなせば もっともっと楽しい食卓になるのではと考えます。
このような発想を 「使い方をデザインする」と仰ってみえたかたがいらっしゃいました。

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2010年06月17日

ゲラルディーニ

ゲラルディーニ社は19世紀の末 工芸家ガリバルド・ゲラルディーニにより創業された イタリア(フィレンツェ)のバッグ・ブランドの老舗企業です。
今ではファッション小物にもバリエーションが広がり その豊富な製品が世界中の人たちを魅了し続け たくさんのファンを持つに至っており 最大の特長は「軽くて丈夫」な品質ですが カラーバリエーションの豊富さにも目を見張るものがあります。
今日はこのゲラルディーニ社監修のコーヒーカップ&ソーサーをご紹介しますが ここにもソーサーにサファイア・ブルーのドット・ポイントをあしらった さり気ないお洒落感覚を垣間見ることが出来ます。
世紀を超え確かな技術と感性による品質が その長い歴史を物語っているのです。

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2010年05月06日

うるか

5月ともなりますと 若鮎が川を遡上する季節であります。
今年は異常気象により各地でこの遡上に異変が起こりつつあり 心配されるところでありますが。
この若鮎は別名「香魚」とも呼ばれる程の 特有の香り高い魚でありますが 秋には産卵のため川を下る落ち鮎となりますと 流石に香りは落ちますが 子持ちとなってコクのある旨味の充実した味となり 夫々の味が楽しめるという謂わば二度の旬を迎えるという魚であります。
この意味では同時期の初夏の上りガツオと秋の戻りガツオ そして産卵前の春の桜鯛と脂ののった紅葉鯛も同様の魚であると言えます。
そしてこの鮎にはもう一つの楽しみがあります。
それは内臓や精巣に卵巣などを塩漬けにして発酵させた 鮎の塩辛とも言える「うるか」であります。
このうるかには精巣のみでつくる「白うるか」 卵巣のみでつくる「子うるか」(こちらは落ち鮎の時期のみという期間限定品) 全ての内臓を使った「苦うるか」 これに身も加えた「切り込みうるか」など 色々な種類がございます。
関西以西の各地でつくられていますが 特に岐阜産のものが全国的にも高い評価を得ているようであります。
大半は日本酒党の酒肴として食用されますが 和え衣に利用される方もみえますので どうぞお試しになってみて下さい。
味の方は好みもございますが お好きな方によれば渋味と苦味 そして旨味の三拍子が揃った最高の珍味だと仰います。

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2010年04月10日

野菜の流通

誰しもそうであるようですが 私自身も子供の頃は野菜嫌いでありました。
そしてご他聞にもれず肉類が好物でありましたが 年を重ねるごとに肉から魚へ そしてこのブログなどで野菜を採り上げ 野菜について調べて参りましたお陰で(?) 次第に野菜にも興味を持つようになってまいりました。
私もスーパーで買い物は致しますが とは申しましても専らお酒のみでありますが それでも偶に大手スーパーのチラシを覗く事もあり そこに掲載されている野菜に目が留まるほどになって参りました。
見ますと○○産大根とか○○産胡瓜など 随分遠く離れた所から運ばれてくるものだ などと妙に感心したりしているのですが 近頃この点に疑問を持つようになって来たのです。
何故もっと近場の産地から仕入れないのか ということであります。
契約栽培なら兎も角 これでは幾ら輸送状況が良くなったとは言え 収穫日の野菜にありつくことは不可能であります。
鮮度が命の野菜ですから きっと地産地消を謳いそして回転の早い専門店もある筈で 見つかれば野菜の買出し先を変更してみてはとも考えています。
きっと手にした瞬間 重さや匂いからその新鮮さが伝わってくるような気が致します。

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2010年04月06日

行者ニンニク

修験道の行者が山岳修行の途中に発見し 滋養強壮にと食していたことから広まったと言われこの名があります。
名前の通り強烈なニンニク臭と ネギ特有の辛味を併せ持っていて ネギの仲間で最も葉幅の広い種で「アイヌネギ」とも呼ばれています。
この別名が示すとおり 天然物は北海道が主産地で 南限は中部の山岳地帯と言われていますが 種からですと食用できるまで育つには5年以上かかると言われ 乱獲の結果現在では幻の山菜となりつつあるようです。
調理法は茹でて水に晒し 酢の物や和え物 ヌタやお浸しなどが一般的ですが 何と言っても生のまま練り味噌を付けてかじるのが一番だそうです。
現在では天然物に変わって栽培物が普及し始めまして 天ぷらそしてオムレツやラーメンなどに入れるアイデアが考案されています。
しかし 栽培物といえども値段は高価です。

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2010年04月02日

スパゲティーとマカロニ

子供さんから若い方達まで幅広い人気メニューのスパゲティでありますが ご家庭でもお手軽な昼食や夜食にと出番の多い料理であります。
原料はデュラムセモリナという硬質小麦の粉で 黄色く弾力性に富んだパスタに無くてはならない小麦粉であります。
パスタは日本ではスパゲティやマカロニなど デュラムセモリナを使った麺類 或いはそれを使った料理全体を指しているようでありますが スパゲティはロングパスタの代表 マカロニはショートパスタの代表であると言えます。
スパゲティはこのロングパスタとオリーブオイルをベースに ニンニクやトマトや魚介を組み合わせた料理であります。
最もシンプルで代表的なメニューは 「アーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノ」。
イタリア語は全く理解してない私ですが 何やらイタリアっぽい名前のようでありますね。
そして炭焼き風という意味を持った 「カルボナーラ」。
炭焼きに見立てた黒胡椒がタップリ加わります。
アサリ入りの「ボンゴレロッソ」に「ボンゴレビアンコ」。
そして日本ではミートソースの名前でお馴染みの 「ボロネーゼ」などなど。
何れも歯応えを感じるよう 針の穴くらいの芯を残しアルデンテに茹でます。
そのためには 1%程の塩を加えて茹でます。
次はマカロニです。
過ってイタリア製西部劇のことを マカロニウェスタンと呼んでいた時代がありました。
黒澤明監督の七人の侍が西部劇にリメークされ(荒野の七人だったと思いますが) その後も続々こうした映画がつくられ上映されていた時代です。
それ程日本にとってマカロニは スパゲティと並びいち早く日本に入った料理で イタリアの代名詞のような存在ではなかったかと想像します。
当時は管をペン先のように斜めにカットした ペンネというショートパスタのみであったように思いますが 今では 今現在でも新しい形が生まれているくらいの進行形で 数え切れないくらいの種類となっているようであります。
このマカロニの茹で方のポイントは 管の中に茹で汁が残っていますので ザルにとってシッカリと水を切りサラダなどに使って下さい。

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2010年02月23日

米粉の効用

一般に油で揚げた料理が高カロリーである事は 周知されているちころでありますが 揚げ物料理は好きだけれど カロリーが気になるという葛藤と 日夜戦って見える方も多いのではないでしょうか。
生活習慣病という名が定着して久しくなりますが この間気になさる方のなかには フライやトンカツなどを諦めてしまった方もいらっしゃるかも知れません。
こうした方達に朗報です。
何年か前になりますが 米国農業省の研究発表によれば このフライ衣のことをバッターと呼んでいるそうですが 大抵は小麦粉に牛乳や溶き卵などが加えられてつくられます。
この小麦粉の替わりにロングライス(長粒種の米粉)を使いますと 油の吸収率が半分以下になると報告されています。
これは米粉は小麦粉に比べ遥かに水分を多く含んでいるため 油を吸収し難いということのようであります。
これによって料理全体のカロリーが 大幅に減少するという次第であります。

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2010年02月11日

沸 点

液体が沸騰する温度を沸点(沸騰点)と言いますが 水は一気圧の場合100度Cで沸騰しますので この場合の沸点は100度Cとなります。
しかしこの水に塩や砂糖などが加わりますと 沸点は100度Cを超えます。
ですから通常の料理の際 調味料入りで煮炊きされ沸騰していれば 温度は100度Cを超えていることになります。
そしてもう一つ 最初に一気圧の場合という条件を付けましたように 気圧が上がれば沸点も上がり 下がれば沸点も下がります。
何方も高地で調理され ご飯に芯が出来た経験をお持ちでしょう。
これは高地であればあるほど気圧が下がるため 同時に沸点も下がって低い温度で沸騰し 生煮えとなってしまうのです。
この原理を利用した鍋が圧力鍋です。
密閉して加熱しますと 内部の蒸気が圧縮され気圧は凡そ二倍となり 沸点は115度C以上まで上昇します。
このため100度では柔らかくならない魚の骨を柔らかくし 煮豆などの短時間調理が可能となります。
シチューなどの長時間かける煮込みや 玄米などの炊飯にも利用して下さい。

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2010年01月15日

バター それともマーガリン

フランスパンの話題の後は こんな話題で如何でしょうか。
ところで貴方の朝食は和食ですか それともパン食でしょうか?
それではパン食の方にお尋ねしますが 食パンをトーストするのであれば 普通はバターかマーガリンを付けますが 貴方はどちらでしょうか?
以前はズーッと動物性の飽和脂肪であり コレステロール値を高めるバターより 植物油を原料とするマーガリンの方が 健康的だと言われてきました。
ところが植物油という液体を原料とするマーガリンが固体であるのは 水素を添加して固化しているからなのですが この水素を添加する際 トランスファットという不飽和脂肪酸が発生し このトランスファットの過剰摂取は 心臓病のリスクを高めるとの米国からの報道により バターとマーガリンの立場が逆転してしまいます。
しかしこれも程度の問題であって 米国人のように大量のマーガリンやショートニングを摂取するような日本人はいませんから 我が国では殆ど問題にはならなかったようであります。
それでもご心配の方は ヨーグルトが添加されたバターもありますので これを代用されれば伸びが良く 使用量を減らすことが出来ますのでお薦めです。
亦 ピーナッツバターは更に良いという専門家も多いようですが お薦めはハチミツです。

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2009年10月15日

盛皿の活用

盛皿を膳に見立てて 器を載せるステージと致しましょう。
舞台が陶器ですから 載せる器は漆器にしましょうか。
食事中のカチャカチャする接触音が耳障りですから この漆器ならコトコト程度で済みそうです。
お三時にお汁粉か善哉は如何でしょう。
でも汁椀だからって 汁物でなければいけない訳ではありません。
只今私はコーヒーブレイク中ですが ご飯に煮物そしてサラダに酒肴と何でもござれの重宝なお椀です。
舞台の方はアイボリー調の無地でフラットなプレートですから 色彩バランスも取り易く 見た目も結構包容力があるようですね。
そのまま使ってもパスタなどメインプレートとして 充分役割を果たしてくれます。

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2009年09月24日

霜降り

調理の方法に「霜降りにする」という言葉がよく使われますが これにはどんな意味があるのでしょう。
目的は素材のぬめりや臭み 或いは余分な脂肪を取り除いたり 最初に素材の表面を固めて旨味を逃がさないようにするということです。
方法としてはザルに肉や魚の素材を載せ 上から熱湯を回しかける方法と 鍋で熱湯を沸かし其処へ素材を入れる方法がありますが 何れも数秒置いて取り出しては 直ぐに冷水に浸けて冷まします。
注意しなければならないのは 熱湯を潜らせる時間が長過ぎますと 中まで火が通ってしまうことです。
この霜降りの一種に 「皮霜にする」といのもあります。
これは皮に旨味を持つ タイやヒラメにスズキなどの皮目を上にして盆ザルに載せ さらしを被せて上から熱湯をかけます。
皮が熱湯で縮んだら 同様手早く冷水にとって冷やしましょう。
さて牛肉などについてよく「霜降り肉」という言葉が使われますが 今霜降りにした素材は 火が通った表面と火が通っていない内面では 例えば白と赤といった具合に色が入り込んで参ります。
この様に赤身の肉の間に 白い脂肪が入り込んだ肉となるよう和牛は飼育されます。
この霜降り状態の良し悪しが 肉質を左右する大きな要素となっていますので 牧場経営の最大のテーマでもあるのです。

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2009年09月10日

中華調味料

中国の調味料に 日本の味噌のような発酵させてつくった調味料(中には発酵させないものもあるのですが)があります。
中国ではジャン(醤)と呼ばれています。
日本の味噌は主原料の大豆に 米,麦,ふすま(小麦胚芽)そして大豆などに コウジカビを繁殖させた麹を使って発酵させたものでありますが 同様にこうした穀物の他魚介を使ったものもあるのです。
穀物が原料の主なものは お馴染みのトウバンジャン(そら豆や唐辛子が主原料)の他 摺りゴマペーストのチーマージャン 日本の八丁味噌に甘味を加えたような風味で 北京ダックの味付に利用されるテンメンジャンなどがあります。
亦 小エビやアミを発酵させてつくった調味料の総称で 蝦醤(シアシャン)と呼ばれるものの中に 代表的なサーチャージャンと呼ばれる調味料がありますが これなどは日本も含め東南アジアなどに同種のものが見受けられ 同種の食文化を共有していると言えるのではないでしょうか。

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2009年08月06日

シシカバブ

トルコの世界に知られた 代表的な料理の一つです。
本来はシオ,コショーで味付けした羊肉と 玉ネギや唐辛子などの野菜を交互に串(ブロシェット)に刺して焼く 日本のバーベキューのような料理であります。
この羊肉は中東を中心に西はヨーロッパ 東は中国に至る広い地域において 食肉としての長い歴史を持っています。
しかし日本では一才未満をラム それを超えたものをマトンと呼び分けていますが これは羊肉は成長と共に特有の臭いが次第に強くなり マトンといえば 日本ではジンギスカン鍋以外に使用することがないためであります。
反対に中東以西では煮込みなど 日常的によく利用される食材であるのです。
一方ラムのほうは臭いも少なく肉質も柔らかいので 日本でもステーキやロースト そしてラムチョップなどは ローズマリーやタイムそしてニンニクなどをのせてグリルした ラムチョップグリルなど 幅広い料理に利用されています。
ラムが手に入ればバーベキュー形式の炭焼きなどで このシシカバブをお試し下さい。
<グリル>
本来は肉や魚介などを焼く 鉄板や焼き網といった道具を指した言葉でありますが その器具を用いて調理した料理も同時に指す言葉となっています。

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2009年07月11日

パーシャル・フリージング

パーシャルフリージングのパーシャルとはパートの形容詞で 直訳すれば部分的な凍結という事になります。
先日 これまで20数年お世話になった冷蔵庫が遂にガタが来まして 電気屋さんを下見に入ったのですが 何とも大きなものばかりでびっくり致しました。
中を覗きますと 冷蔵庫と言えば冷蔵室と冷凍室しか知らない私たちにとって 更に未知の部屋がある事に気付きました。
それがパーシャル室であります。
部分的な凍結と申しましても 実際には食品の表面だけを凍らせ 中まで完全には凍らせないという方法であります。
この方法ですと 食品のフリージングによる旨味や味わいを損なうことが少なく 傷みが最小限に食い止められるというメリットがあります。
温度は-3度を中心とした-1度から-5度に設定されていまして チルド室の0度 冷凍室の-18度の中間に位置します。
この温度は発酵食品にとって発酵を遅らせるという適温で 納豆やチーズにヨーグルトにとっては 出来上がりに近い状態が維持出来ますので最適であります。
亦 魚や肉の生きの良さを保つ短期から中期の保存にも 最も適した温度と言えますが 水分の多い野菜や豆腐の保存には不向きと言えます。
一般に凍結された食品は 中に出来る氷の塊りによって組織が壊されます。
そしてそれを解凍しますと その水分が外に流れ出て食品はスカスカ状態になり 旨味も一緒に逃げ出してしまいます。

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2009年06月09日

女房詞

女房詞という言葉遣いがあります。
室町の頃より宮中に仕えた女官が使い始め 且つ現在でも隠語的な言葉として通用している言葉であります。
主として私たちの身の回りの衣食住に関するものが多いのですが 今日は言葉遊びのつもりで その中の食に関する女房詞を幾つかご紹介しましょう。
先ず多いのは言葉の頭に「お」を付けるタイプと 語尾に「もじ」を付けるタイプです。
後者は文字詞とも呼ばれています。

 おかか  → カツオの削り節
 おから  → うのはな
 おかき  → 欠き餅
 おかず  → 惣 菜
 おこわ  → 赤 飯
 おみおつけ→ 味噌汁
 おでん  → 味噌田楽
 おにぎり → 握り飯
 おはぎ  → 牡丹餅
 おじや  → 雑 炊
 おひや  → 冷 水

文字詞

 しゃもじ → 杓 子
 ひともじ → ネ ギ
 にもじ  → ニンニク

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2009年05月29日

ビーフ・ストロガノフ

ストロガノフとはロシア貴族の名前でありますが ここの料理長を務めたフランス人シェフによって創作された料理であり 厳密にはロシアの民族料理とは言えないようであります。
しかし出来栄えの素晴らしさは上々で 評判が評判を呼び たちどころにロシア発の世界料理として広まって参りました。
世界的な料理となって参りますと そこは夫々のお国柄などが反映され ソースなどのバリエーションもドンドン広がり 今ではどれがオリジナルなのかよく分らなくなっています。 
基本は薄切り牛肉と玉ネギにマッシュルームを合わせて炒め 仕上げにスメタナ(作曲家ではありません)と呼ばれるサワークリームを添える料理であります。
何でもない料理のようでありますが このスメタナと呼ばれるヨーグルトは 日本ではカスピ海ヨーグルト或いはグルジアヨーグルトと呼ばれている発酵乳でありまして ボルシチを筆頭にこの地域では殆どの料理に多用されています。
話が飛んでしまいますが グルジアは世界最長寿地域の一つに数えられているところから このヨーグルトに何か秘密があるのではないかと調査された結果 他のヨーグルトとの差は殆ど認められなかったようであります。

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2009年05月02日

野菜の器

今日から5連休の方が 最も多いパターンではないでしょうか。
お天気さえ崩れなければ この5月の連休は一年通して最も気持ちの良い季節であります。
皆様 如何お過ごしですか。
こんな気持ちの良い日は 何時もの食卓を離れて 自然の中での食事というのが気分も開放されて 楽しいものですね。
そんな日には食器なんて用意する必要もなく 野菜を器に見立てて 器ごと食べてしまえる料理を工夫してみましょう。
お料理テキストに掲載されていましたメニューを 幾つかご紹介しますのでご参考にして下さい。
先ずは玉ねぎ皿の海老グラタン。
玉ねぎを半分に切って 中味を取り除けばボールが出来ます。
次は写真のトマトカップのババロア。
トマトのヘタの部分を切り落とし 皮を破らないよう中味を取り出しましょう。
次はポテトボールのハムサラダ。
ジャガイモをオーブンで焼いた後 半分に切り分けて中味をスプーンですくい出します。
最後は肉詰めピーマンカップ。
これはどちら様でも 割りにポピュラーな家庭料理ですよね。

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2009年04月27日

食器のサイズ

盛り付けられた料理の美しさを考慮しますと 皆さんが買っていかれる食器は夫々一回り(1寸若しくは1吋)ずつ小さいように思います。
余裕の無い窮屈な器ですと どうしても盛り付けた際の余白の美しさが演出できず 全体の印象も損ないかねません。(ホテルやレストランそして料亭などの盛付をご参考に思い出してみて下さい)
ご家庭での食卓事情を配慮された上での選択かと思われますが それならばこれまでも何度がご紹介して参りました大皿とか大鉢をご活用されてはいかがでしょうか。
後は小さな取皿を用意されて夫々取り分けていただくという方法が 狭いスペースの有効利用になると思います。
使用済みの取皿はワゴンなどにその都度片付けておけば テーブルの上はいつもスッキリしています。
何種類もの料理を夫々銘々盛していたのでは 器が小さくならざるを得ないでしょう。
この際の大皿(鉢)は食卓の中心的存在となりますので 是非お気に入りを見付けたいものですね。

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2009年04月13日

ワカメ

昆布と共に私たちの食生活と切り離せない 代表的な海藻です。
昆布のように出汁は採れませんが 食卓に大切な季節の到来を教えてくれる海からの贈り物であります。
私たちは同じタイミングで現れるタケノコと 非常に相性が良いことを知っていて これを若竹煮や若竹汁にして食卓に季節を添えています。
更に煮物の天盛と汁の吸い口には木の芽を使い この三種の出会いを料理で演出しています。
この若竹料理ばかりではありません。
ワカメは他にも味噌汁や酢の物に和え物 ヌタやサラダにと色々利用しています。
このワカメは昆布と異なりほぼ日本各地の沿岸で採取されますが 大半は保存性を高めるため 塩蔵品や乾燥品として流通しています。
ですから塩蔵ワカメは塩抜きして 乾燥ワカメはタップリの水でもどしてから調理して下さい。
このワカメの調理のポイントは ミチと呼ばれる硬い筋がありますのでこれを切り落として下さい。
亦 このワカメには芽タデや芽キャベツそして芽ネギのように メカブと呼ばれる根元近くに生殖細胞に集まった螺旋状の葉があります。
これは細かく刻むとトロロのような粘り気が出て参りますので メカブトロロとして醤油をかけて戴きます。
このワカメは 我が国とお隣の朝鮮半島の民族のみが食用としているそうで 勿体ないお話ですね。

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2009年03月11日

ミックスベジタブル

明治に入りますと文明開化と共に 西洋からの様々な食材や料理が紹介され 野菜などは栽培品はもとより 種子までも輸入されて国内で栽培され そのまま日本に定着した物まであるようです。
今では西洋料理の普及と共に 次々と更に新しい野菜も紹介され また品種改良などの成果もあり ドンドン食べ易くおいしくなって参りました。
そんな過程の中で保存技術の進歩とも相俟って 冷凍野菜の輸入が始まると共に ミックスベジタブルと呼ばれる保存野菜が製造販売されるようになります。
これは数種の野菜を使いやすいサイズに切って(加熱した後) 袋詰めして冷凍した謂わば半調理品であり 忙しい主婦にとりましても たちどころに大変心強い味方となりました。
和風に洋風 そして中華風までたくさんの種類がつくられ 何れも彩りの良い組み合わせとなっています。
その中で最もポピュラーで人気が高いのは ニンジンとグリンピース そしてコーンを組み合わせた三色ミックスです。

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2009年03月01日

工房ゆずりは

全て女性のスタッフによる工房「ゆずりは」から届きました 手造りの碗皿です。
この碗皿の他 タップリとした福々碗 持ち手が大きく柔らかいシェープのマグカップ そして飯碗,湯呑と 4点のショートラインナップです。
全て総花柄で十数種の花のアイテムですが そこには何れも女性の優しさや細やかさが溢れ 使う人の気持ちにも響いてまいります。
器全体をキャンバスに見立てて まるで花園かお花畑にでも舞い込んだような そんな雰囲気を持っています。
亦 色遣いも大変カラフルで 赤やオレンジ 黄色に緑 そして薄紫などを使いとても華やいだ癒される気分にしてくれます。
当地の今冬は暖かめでありましたが 今日から3月です。
本格的な春を迎えるに相応しい器かと存じます。

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2009年02月13日

沈丁花

私共の商店街では花と緑をテーマにした テーマモールにしようとの合意があり これまでも種々の植物が植えられて参りました。
今日の話題もその一つであります。
香りの強い花を持つ植物の代表に 秋のキンモクセイとこの春のジンチョウゲがあります。
常緑の低木で 手毬のように固まって白や淡紫の可愛い花を咲かせ 強い香りを放ちますので 原産地の中国では「千里香」の異名が付けられています。
この香りと伴に 春の到来を感じる方も多いのではないでしょうか。
でも茶の湯ではこの強い香りのため 禁花とされています。
漢字では「沈丁花」と書きますが この和名の由来はあの沈香と丁子(クローブ)を 合わせたような香りだということのようであります。
日本に入ったのは以外に浅く室町時代だそうで オデキの吸出しや 喉の鎮痛には葉を煎じるなどの薬効を信じ外来したとありますが 花や根には有害成分も含まれているとありますので 私などは専らさわらぬ神で 口を使わず専ら目と鼻で鑑賞しようと思っています。
寒冷地を除き 全国各地に街路樹としても植栽されていますので 何処かの商店街や何処かの庭先で ご覧になられた方も多いのではないでしょうか。

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2009年01月30日

バルサミコ酢

日本の酢に当るものが英語圏ではビネガーとなりますが 日本では主として米を原料としているのに対し 西欧のものはワインやリンゴを主原料としています。
製法は原料をアルコール発酵させて酒にした上 酢酸菌を加えて更に発酵熟成させてつくるという点では一致しています。
このワイン(赤)ビネガーの一つに イタリアの超高級酢であるバルサミコ酢があります。
何故超高級なのかと申しますと 原料であるブドウの品種,熟成に要する最低年数(12年),その他製法等々細かな基準が法律で定められ 適合したものだけがこれを名乗れるという点であります。
この点は非常に厳格なものであります。
従いましてビンテージ物ともなりますと 大変高価でありとても一般家庭で日常使えるものではないのです。
殆どが一部の高級レストランに向けられ 家庭で使われるとしましても火を使う調理に使われることはまずありません。
この点は飲食店でも同じで 主にはデザートやサラダに直接かけて使われています。
これは豊かな香りとまろやかな酸味 そして芳醇な甘味を併せ持ったバルサミコ酢の本来の風味を生かすためであります。
このバルサミコ酢の最高級品は 正確にはアチェート・バルサミコ・トラディツィオナーレというそうですが 現在ではこれに準ずるものであったり 普及品といえるものもつくられてはいるものの もちろんこの名を付ける事は出来ないのであります。

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2008年11月08日

煮るという調理

美味しい煮物が出来れば一人前の料理人などと言われていますが この煮るという調理法は煮方によって微妙に表現が違います。
この微妙な差が 繊細な和食の味を引き出しているとも言えるのですが。
5月に書いた「火加減・水加減」のコラムでお叱りを頂戴したにも拘らず またまた懲りずに調理用語の解説です。
ここまで読んで下さった方 もう飛ばしていただいて結構ですが 続けます。
先ず「煮立てる」という言葉ですが これは煮汁を入れた鍋を強火若しくは中火で 表面が泡立つほどにグラグラと沸騰させます。
これに似た言葉に「ひと煮立ちさせる」というのがありますが これは煮汁などを一度泡が立つほど沸かして そのまま火を止め味を含ませたり 或いは弱火に落として静かに煮ることを指しています。
次に「煮詰める」 これは煮物の汁やタレなどを 好みに応じた味や濃度の調節する煮方を指しています。
例えば「鯖の味噌煮」などは トロ味を出すため煮詰めます。
少ない煮汁を煮詰める時は 焦げ付きに注意しましょう。
そして「煮含める」 これは薄味の煮汁に材料を浸し ゆっくり時間をかけて味をよく浸み込ませる煮方をこう呼びます。
この場合煮切らずに煮汁を少し残すのですが 先程の「煮詰める」は煮汁の水分すべてをとばして 煮汁の味を凝縮させます。
最後に「煮びたし」 こちらはタップリの煮汁を使った煮物料理に使います。
魚の干物などは弱火でジックリですが 野菜の場合は下茹でしたものを温める程度にサッと煮ます。

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2008年10月24日

ベニエ

フランスの衣揚げ料理の一つですが おやつに近い料理のようです。
英語のフリッターが同種の料理のようでありますが この料理の特徴は天ぷら粉を同量のビールで溶いてつくる衣にあります。
ビールの代りに卵黄を溶いた薄力粉に 泡立てた卵白を混ぜても良いようですが 何れもふんわりした厚い衣となります。
揚げる材料は魚介や野菜に果物などですが 何れも比較的火の通りが良くて 淡白な味のものが選ばれています。
変わったところでは リンゴやバナナを使っておやつやデザートにしたり 中には何も詰めずに生地だけを素揚げして 砂糖を塗してお菓子にします。
またサラミやハムにコンビーフにツナ缶など 調味済みの手近なものを利用してサッと揚げ お摘みなどに利用されることもあります。
ソースは使わず 塩を振りレモンを絞って戴きましょう。

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2008年09月23日

カリフラワーとブロッコリー

食品の安全性が取沙汰されているなか またまた食品の話題で恐縮です。
サラダの彩りや付け合せによく使われるカリフラワーとブロッコリーですが この違い分りますか。
どちらもキャベツと同じアブラナ科の野菜ですが キャベツの花蕾が肥大したものがブロッコリーとなり このブロッコリーが突然変異した後 改良されて出来たのがカリフラワーだと言われています。
日本ではカリフラワーの方がやや早く普及したようですが 色の差でお分かりのように ブロッコリーには葉緑素やカロテンという色素成分が多く含まれていますが カリフラワーはこれ等の成分を殆ど含みません。
どちらもビタミンCを多く含みますが ブロッコリーの方がより多い事が知られています。
しかし茹でますとブロッコリーの方が より多く損失し易いものですから 結果的にはどちらも同様とお考え下さって結構かと存知ます。

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2008年08月24日

バイオマス・プラスチック食器

環境保全への取り組みは 地球上のあらゆる企業が事業活動の前提としなければならない 重要な課題となっています。
当市でも学校給食などに於いて プラスチック食器の半世紀に至る実績を持つ 三信化工というメーカーが 2005年にこの業界で初めてのISO14001:2004(環境マネジメントシステム規格)の認証を取得しております。
以来環境保全への取り組みの一環として 「バイオマス・プラスチック食器」の開発を進め 製品化に成功を収めました。
有限資源である石油に依存することなく プラスチックがつくれないものかとのコンセプトのもと 生まれたのがこのバイオマス・プラスチックであります。
原料はトウモロコシやビートのような穀物で 石油由来のプラスチック食器同様の使用が可能となりました。
同時に有害なダイオキシンの発生も全く無い上 焼却時の二酸化炭素排出量は紙よりも低いという優れものであります。
このため焼却炉を傷めることなく 地球温暖化問題への影響も極めて少ない食器なのです。
バイオマス・プラスチック食器の循環サイクルは 先ずトウモロコシやビートなどの原料から糖と澱粉を採取し これを発酵させることによって乳酸をつくります。
そしてこの乳酸を処理することで ポリ乳酸樹脂を生成して成形処理し 食器などの製品をつくり出します。
使用後は(燃却処理するか)コンポスト処理することにより 大地へ還します。
こんな具合ですから両手を挙げて万歳と思いきや 同時に食糧難に直面している国々から 白い目を浴びせられる結果となったのも事実で 何とも見通しの甘さが露見してしまったようでもあります。

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2008年07月18日

上 薬

丁度一週間ほど先になりますが 今年は今月の24日が土用丑の日に当ります。
中国では古来 保健や予防のための薬を中薬 病気になってから治癒するための薬を下薬 そして食事のことを上薬と呼んでいます。
云い得て妙だと思いますが つまり良い食事こそ最高の薬と言っているのです。
取り分け ウナギは日本でも万葉の時代から 夏のスタミナ料理として最上とされてきました。
このウナギの調理法として蒲焼が一般的でありますが 江戸期より考案されたそうで 関東風と関西風がございます。
これは江戸が武家社会の町で 腹切りを忌み嫌い背開きしたのに対し 商人中心の上方はそんなことに拘らず腹開きとし 蒸さずにそのまま焼いてタレを付ける方法が採られているのです。
関東では白焼きしたウナギを一度蒸し その後タレ付けをして焼き上げるのが一般的であり 見た目も美しく味も上品と関東人は言います。
これに対し関西人は 頭も付けて焼くので経済的でもあり 香ばしさが失われないと仰います。
さて貴方はどちらに軍配を挙げますか。

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2008年06月22日

グッドデザイン賞

比較的私達にも馴染み深い「グッドデザイン賞」ではありますが この賞は1957年に通商産業省によって創設された「グッドデザイン商品選定制度」を母体とする 日本で唯一の総合的なデザイン評価・推奨制度であります。
現在は(財)日本産業デザイン振興会が運営主体となり グッドデザイン賞を受賞したことを示すこの「Gマーク」によりデザインの良さを推奨し 社会とデザインのコミュニケーションを図ろうとしています。
私共の業界の商品の中にも受賞作品は多数見られますが このマークが比較的ポピュラーであるだけきっとお気付きの方も多いことでしょう。
良いデザインとは単に外見の美しさだけではなく 機能,品質,安全性などの基本的な要件は勿論 暮らしへの提案までも含んだ全体としての質の高さを表しています。

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2008年05月30日

火加減・水加減

今月2度目のコーヒーブレイクです。
鍋で煮物をつくる際 水の量を表す言葉として 次のような表現がよく使われます。
この様な言葉は感覚的な理解はあっても 実際にはどの程度の量なのか 厳密に把握されている方は少ないのではないでしょうか。
そこで料理のレシピなどでよく使われている言葉を解説することと致しましょう。
先ずは水について。

「ひたひたの水」
 材料が水面から少し出ている状態の水量
 水は材料の重さの70%が目安

「かぶるくらいの水」
 材料が完全に水の中に入った状態の水量
 水は材料と同じ重量

「たっぷりの水」
 材料の高さの倍くらいの水量
 水は材料の重さの200%

「こんなこと解っている 余計なお節介」と言われそうですが 「水」が出たところで序にもう一つ。
「差し水(ビックリ水)」についても解説させてください。
この水は煮豆をつくったり 麺類などを茹でる時に沸騰してから加える冷水のことを指しています。
噴きこぼれを防ぐと同時に 加熱速度を調節する役割を果たしているのです。
でも今の熱源(過っては薪を使っていたため火力調節が難しかった)であれば熱源の火力調節で充分で 特に麺類はそうしたほうが良いようです。
しかし煮豆の場合はシワや煮崩れを防ぎ 均一に火が通るため差し水は効果的です。 
ここで再びお叱りを受けることとなりますか。

お叱り序に懲りずに今度は「火加減」です。

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2008年05月11日

NGCC加工

土物の食器を使ってみえる方はご存知だと思いますが 土物は磁器と違って陶土の密度が濃くないため吸水する性質を持っています。
このためご使用前には小麦粉(米の研ぎ汁や片栗粉など 色々テストしてみましたがこれが一番効果的でした)を溶いた水の中へ食器を入れて沸騰させ その後自然徐冷して目詰まりさせます。
この目詰まりの精度を上げる方法がNGCC(ナノグラス超越コーティング)です。
NGCC加工は現在ご使用されている土物食器の内部に溶液を浸透させ ガラス質のポリマーを形成させる加工です。
この溶液はナノ分子構造であってアルコール成分を多く含み その為食器の内部に浸透し易く そしてポリマーのコーティングによって内部空間を埋めてしまいます。
その後乾燥窯で熱を加えて硬化させますが 土物の風合いを損なうことはございません。
勿論 溶液そのものは食品衛生法もクリアしていますし 燃焼テストにおいてもダイオキシン等の有害物質が発生することはありません。
安心・安全な加工法です。

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2008年04月11日

キッチン・ガーデン

Yahooが配信している動画には 英国BBC放送のドラマなどもたくさんあります。
その中に毎回決まって 英国の田園風景が背景として映し出される番組があるのですが ご存知ですか。
ストーリーはチョット露悪趣味の番組でもあるのですが。
その番組を連想させてくれたのが このカップ&ソーサーです。
同じ英国出身で 伝統あるエインズレイ社のボーンチャイナ製の製品です。
番組は数年前の英国の田舎町が舞台となっていますが 今見ても歴史を感じさせる調度品や建物ばかりであり そして町並み全体がタイムスリップしたかのような錯覚を覚えます。
歴史が町の彼方此方に散りばめられているのです。
田舎町であるだけに これ程の歴史的建造物が戦災を免れ残っているのか と思わせるシーンの連続です。
さて こちらのカップ・ソーサーの絵柄はと申しますと こちらのデザインは創業当初の18世紀にまで遡るかもしれません。 
こちらも今尚 全く違和感を感じさせない長閑な風景画(タイトル:キッチン・ガーデン)が描かれていまして驚きです。
町並みばかりではありません。 欧州産のこのような身近にある雑貨のデザインは 世紀を超えて使われ続けているものが沢山あり まことに羨ましい限りであります。

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2008年02月17日

食器を揃える

所帯を持たれますとその日から食器が必要となり いろいろと揃えなければなりません。
何をどう揃えていくかは皆さん夫々ですが 飯碗から選ばれることが多いようです。
そしてこの飯碗も新婚当初は写真のようにペアーで選ばれますが 2度目以降の補充には同一品がなくなってしまうこともあり 夫々めいめい持ちとなることが多いようです。
このようにめいめい持ちとなる食器は 数ある種類の食器と言えどもそう多くはありません。
飯碗,湯呑に箸とマグ この程度ではないでしょうか。
しかし洋食器に至っては全て同一柄に同一形状で これさえ決めれば後はどのサイズを選ぶかという点でで全て決ってしまいます。
他の和食器に致しましても同一の器なら 皿にしても鉢にしても家族バラバラという事は殆どありません。

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2008年01月20日

子供食器について

子供食器について 普段接客する中で感じていることをお話しようと思います。
子供さんの食器をお買い求めに来られるお母さん方のお話を聞かせて戴きますと そのご家庭の教育方針がおぼろげながら見えてきます。
大抵「○○○の食器ありますか」と先ず尋ねられ<この場合の○○○とはTV(?)の人気キャラクター> 扱ってなければ「○○○でないと愚図るのよ」と一言仰りながら 踵を返して帰られます。
私共は既に成人した子供ばかりなので ○○○と尋ねられても「○○○って何でしょうか」
 と問い返すことになります。

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2007年11月13日

今月の「なんでも四日の市」

「なんでも四日の市」につきましては以前ご紹介いたしましたが 毎月最終日曜日に当商店街を会場に開催され 既に20年以上を経ています。
当時としましては この地域の草分け的なフリーマーケットでありました。
年々出店者も増え 会場も広がって参りますと同時に 市民の間にも定着したイベントとして認知されてまいりました。 
何事も継続させることは大変なエネルギーを必要としますが 大切なことだと思っています。

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2007年10月10日

湯呑とティーカップ

店内でお客様に食器をお勧めする場合 私共では「どうぞ手にとってご覧下さい」と声をかけます。
それは私たち日本人は食事をする時 殆どの器を手にしながら料理を食べるという習慣を持ち 手にした時の感触を大切にするからに他ありません。
しかし西洋料理となると 飲み物以外は食器を手にして料理を食べるということは先ずありません。
心当たりを思い出してみましても 手付きのスープカップぐらいでしょうか。
そればかりか 世界各地では料理を手掴みする文化というのも彼方此方で見られます。

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2007年09月10日

サプリメント

「健康」という言葉が時代のキーワードとなって以来 健康器具や食品 それに健康飲料といった商品を製造販売するビジネスが 拡大の一途を辿っているかのようです。
その一端でしょうか このところサプリメントの広告をよく見かけます。
そこで気になる事は このサプリメントさえ採れば 食事をしなくて良いと思わせる表現が目立つということです。
サプリメントとは飽くまで栄養補助食品なのであって 規則正しくバランスのとれた食事さえしていればそれだけで充分な筈です。

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2007年08月02日

スイカ料理

今月のコーヒーブレイクは 季節柄スイカ料理と参りましょう。
えっ スイカ料理って何ですか と思われるでしょうね。
皆さんは冷やしたスイカは果肉を食べるのであって それ以外に調理などすることはないと思ってみえるでしょう。
そして食べ終わった後の皮は 当然のことながら捨てていますよね。
これが勿体ないのです とは漫画家でエッセイストの赤星たみこさん。

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2007年07月04日

遺伝子組み換え作物

ここに米国からのレポートがあります。
私達は遺伝子組み換え作物といえば 「何となく不安である」とのイメージを持っていますが 何がどう不安なのかハッキリご存知の方は少ないように思われます。
ところが米国に処を移せば 市場にはこの作物が溢れんばかりに積み上げられています。
マダマダ予測の付かない未知の要素の多いこの作物に対して 日本では消費者の食の安全性を慎重に最優先する立場が採られていますが 米国では生産者のメリットが配慮された結果のような印象を受けます。

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2007年06月05日

トマトの話

世界で一番消費されている野菜といえば 何だかご存知でしょうか。
答えはタイトルのトマトですが 日本でも売上高トップの人気野菜であります。
原産は南米だそうですが メキシコで栽培が始まり15世紀にはヨーロッパへ そして17世紀には日本へと伝わって参りました。
何れも当初は有毒な植物と誤解され 観賞用として栽培されていたようですが 食用となった初期においても 日本では専らケチャップやソースなどに加工され その後生食用となったと言われています。

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2007年04月07日

ハムレットの悩み

今月から3時のコーヒーブレイクに 肩の凝らない話を一話ずつしてみます。
ニュースソースはその日の新聞や雑誌であったり様々ですが 自分自身の体験談も時折織り交ぜながら 一寸商いから離れてご紹介して参りますので どうぞ気楽に読んでみて下さい。
カテゴリーは「コーヒーブレイク」です。
コーヒーカップも毎月替えてご紹介して参ります。(矢張りどうしても商売っ気が入ってしまいます)
どうぞお楽しみに。

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