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2012年04月14日

腹 卵

飢饉に苦しんでおられる方が沢山みえる一方 この様な食材が人々の胃袋にとって果たして必要なのかと思われるような矛盾は この世に山ほどあります。
しかし他方 幾度となく深刻な食糧問題を「とる時代」から「育てる時代」へと変換させてきたのも 私たちの叡智であります。
珍しい素材のご紹介です。
写真のオレンジ色の素材は何だと思われますか。
柑橘系の金柑のように見えますが 実はこれ腹卵(はらたま)と申しまして 孵(かえ)る前の母鶏のお腹にいる卵であります。
この色と形ですからキンカンとも呼ばれていますので 金柑と答えられた方も正解ではありますね。
写真には黒っぽいものが混じっているのが確認できますか。
これは鶏の心臓でハツと呼ばれているものであり 一緒に弱火でジックリ煮込んだのが所謂モツ煮であります。
腹卵は鶏卵と同じくそれ自体完全食品でありますが 味は鶏卵よりも遥かに濃厚です。
しかし一緒に煮込んだハツの方は 独特の臭みがありますから下茹でした上 水を替えながら丁寧に揉み洗いの下拵えをしておく必要があります。
この煮込みの出汁は酒,醤油に砂糖で 仕上がりに艶と光沢が出るよう 照り煮という方法で調理されています。

煮上がりに葛粉などを溶き入れて 照りを出す方法(ツヤ煮ともいいます)もあります。

投稿者 Sugino : 2012年04月14日 08:12

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