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2009年10月01日

衣 被

月が替わり 月の話題でご無礼申し上げます。
小振りの石川芋は大阪の石川地区が元の産地であり 名前はその地に由来したものでありますが 今も主に関西地区で栽培され 9月には早生品種として市場に出回ります。
小さくとも適度に粘りがあり 旨味もタップリで仲秋の十五夜(旧暦8月15日,今年は10月3日)には 団子と共に欠かせないお供え物となります。
お供え物とするには 上部の皮目に円形の切れ込みを入れて蒸し上げ 切れ込みの上部を押してツルッと皮を剥きます。
これを三宝に盛り付けてお供えするのですが 御下がりを戴く場合は皮を持って塩を振り 残りの皮を押さえて再びツルッと剥いて戴きます。
これはこの皮を平安の時代の女性が被っていた衣に見立てたもので 衣被(きぬかつぎ)と呼んでいます。
そして何と言っても月が一番の肴でありますので 出来るだけ月見の出来る窓際に席を設え ススキ(尾花)や萩を飾り団子と共にお供えします。
この習慣によって この日が芋名月とも呼ばれているのです。
亦 旧暦9月13日(十三夜,今年は10月30日)は 栗名月或いは豆名月とも呼ばれ 替わりに栗や豆をお供えします。
そしてこの両方の月見をすることが肝要で 片方だけでは片見月と言われて嫌う習慣となっています。

名月や 池をめぐりて 夜もすがら(芭蕉)

里芋の分類方法として 株元の親芋を食用とするものと 親芋の周りに出来る子芋を食用とする品種に大別できますが この石川芋は小芋を食用とする代表種であると言えます。

投稿者 Sugino : 2009年10月01日 06:26

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