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2013年11月24日

越前木工

越前と言えば この業界では言わずと知れた業務用割烹漆器の 一大集積地であります。
戦前から続く木製漆器から 戦後の種々のPC樹脂を使っての数々の製品づくりまで 隣接する輪島漆器同様,木地職人と漆塗りの職人がいて 夫々の分業が確立した地区であり その工程に今も変わりはないのであります。
また越前塗の木製漆器は輪島に次ぐ堅牢さと 重厚で華美な蒔絵は殆ど使わないスッキリとしたデザインにも人気が集まるところとなっています。
さてそんな越前地区にありましても 将来を見据えた新機軸の開発には 各社おさおさ怠りない所でありますが 成功事例となりますと残念ながらほんの一握りといったところでしょうか。
その中から一社 元はと言えば叙勲の栄誉にまで預かった木地師のご出身でありながら 迷う後継者に時間を与え 見事に新会社設立まで漕ぎ着けられた方をご紹介申し上げます。
さて貴方は木製のキーを持ったパソコンのキーボードを ご覧になられたことはないでしょうか。
実はあの製品を一貫しての企画製造に当ったのが 従来のハコにAクラスの"ア"を合成したネーミングで 「ハコア」というブランドであります。
如何でしょうか この企画から一貫しての製造という点でも地域のあまり例はなく 亦その結果,越前漆器とは似ても似つかぬ製品となり この大胆な発想の転換に驚かれた方も多いのではないでしょうか。
発想の転換と一言で申し上げましたが 製品化するまでの揺れる心や メープル(北米の楓)という新素材を採用したものの 将来性などを不安視する声も多く 一朝一夕に実るものではなかったと思われます。
実はこの製品を完成まで漕ぎ着けた秘密が もう一つあります。
それはこれまで培った木地師としての技と PCを導入しての成形のプログラム化 というこの新旧の技術が見事に融合したプロジェクトであったという点であります。
もちろん仕上げに検品など 最終ラインは熟達者たちの仕事です。
最後に細かな点は省いてしまいましたが 長年,木と親しんできたノウハウは随所に生かされ 今後も日々の暮らしを豊かにしてくれる製品づくりは ドンドン進められているのであります。

発想の転換を支えてこられた周囲の方々に 敬意を表したいと思います。
亦こうした発想は地元はもとより 県外からの採用者も半数を超えると言いますから 全国の若者にも受け入れられたという事の証左であると 付け加えさせていただきます。

投稿者 Sugino : 2013年11月24日 11:37

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