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2008年01月15日

銅 鍋

最も長く人類と付き合ってきた金属といえば銅ではないでしょうか。
古墳時代の遺跡からも種々の銅器が発掘されていますし 貨幣も銅貨が最初ではないかとおもわれますし プロと呼ばれる料理人は鍋底を何度も張り替えたりしまして この調理器具をこよなく愛して来た といった経緯がございます。
しかし信じられないことは この銅が空気中の水分と二酸化炭素に反応して生じる緑色の一種の錆(緑青と呼ばれています)が つい最近(20年程前)まで猛毒であると信じられていたことです。
無毒とは証明されていませんが その毒性はアスピリン相当と結論付けられ しかも体内に残留することは全く無いので問題なし との厚生省からの報告です。
では何故猛毒だと思われて来たのでしょうか。
それは精錬技術の未熟な頃では 製造された銅製品に猛毒の砒素が混入していたり 銅板の接合に有毒な鉛が多量に使われていたりといった 本来の銅には無縁なところに問題があったためではないかと言われています。

さて前置きが長くなりましたが そんなわけでこの銅鍋の特徴とご使用法を幾つかご紹介致します。
何故プロの調理人が銅鍋を使用するのか理由を探りますと 何と言っても熱伝導率がトップクラスの金属だからなのです。
熱伝導率が良いということは 熱容量(保温力)が大きいため 料理全体に平均した熱を素早く加え そして火を止めた後の余熱利用が出来るのです。
そのためジックリ煮込むお料理には最適の鍋だと言えます。
国産の銅鍋は内面(直接料理が触れる部分)を ニッケルか錫でメッキ保護しています。
しかしこのメッキは何れも融点が低いため 空焚きされますとメッキが剥げ銅が剥き出しとなってしまいますのでご注意ください。
それでも銅鍋は使い込まれるほどに 赤銅色の被膜をつくり緑青は自然に出難くなりますので 一度緑青が出たからといって諦めずに出来るだけ毎日使い込んでみて下さい。

それでは使用法ですが 先ずは本格的に使用される前に この鍋は通常変色防止のためのラッカー被膜が外側に施されています。
これをシンナーかマニキュア除光液などで剥がして下さい。
そのまま使用してしまった場合は 粉末クレンザーをナイロンタワシに付け 円方向にゴシゴシ磨いてください。
そして次には内面のアクを抜くため 一度お湯を煮立てて下さい。
次に本格使用に当りましては 空焚きに注意して掻き混ぜは内面を傷付けないよう木ベラを使って下さい。
焦げ付いたら直ぐに火から下し 冷まして水かぬるま湯でふやかしてから取り除いて下さい。
最後に使用後は料理を鍋に入れたまま長時間放置しないで 洗剤でよく洗った後水気をよく切っておいてください。

以上 クドクド書きましたので使用を敬遠されるかも知れませんが 習うより慣れです。
弘法は筆を選びます。
亦 銅の無害もご理解いただけたと思いますので 精々どうぞよろしくお願いします。 

投稿者 Sugino : 2008年01月15日 07:48

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