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2007年02月10日

広 蓋

先月文筥をご紹介しましたが こちらも消滅の危機にある道具です。
ご年配の方ならご存知かも知れませんが 若い方でご存知の方は少数派と思われます。
結納の品や祝いの品はこの長角のお盆に載せてお渡しするのが正式で広蓋(一枚目の写真)と申しまして 正角に近いお盆は万寿盆(二枚目の写真)といい 結納の場合は目録を載せますが 本来はこちらは花嫁の挨拶回りに際し紅白のお饅頭を載せて配るためのお盆なのです。

正式にはどんな物でも直接手に持つことなく このようなお盆に載せて差し出します。
亦長角の小さなお盆は袱紗に包んだご祝儀やお布施を載せるためのお盆で 祝儀盆とか切手盆(三枚目の写真)と呼ばれています。

このようにお盆と申しましてもお茶やお料理をお運びするためばかりでなく 載せるものによって夫々の役割を担ったお盆があるのです。
亦これはご覧になられた方も多いかと思いますが この広蓋に似たお盆で表彰式などで賞状と記念品を載せて運ぶ賞状盆(四枚目の写真)というのがあります。
広蓋との違いは広蓋の形状はやや胴張り型であるのに対し 賞状盆は直線的な形状をしています。
儀式が簡素化されるにつけ道具も簡素に或いは消滅せざるを得ませんが 正式という作法は相手を思い遣った結果の行為で 見た目も美しく相手の琴線にも触れ重厚な行為と言えます。
残したいしきたりではありますが 残念ながら先ずはこの広蓋と万寿盆が危機を迎えているのではないでしょうか。

投稿者 Sugino : 2007年02月10日 07:38

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