2008年01月24日

創作料理

私共の業界でもセールを行なったり 或いはプロパーであっても目玉商品というのを設定して 折込チラシや売り場にメリハリを付けるりますことがあります。
目玉商品とは 勿論目玉のある商品というのではありません。
特定の目的を持たれたお客様を対象にするのではなく フラッと入ってこられたお客様 或いは何気なくチラシに興味を持たれたお客様に対して店をアピールするために 店を代表する選ばれた商品のことを指しているのです。
ですから先ず品物そのものが魅力的なものでなければならない事は言うに及びませんが 尚且つ品質は基より 場合によっては価格においても大変お値打ちと感じて戴ける設定をしなければなりません。

これと同じ事が飲食業にも言えます。
只 私共が羨ましいと思うのは 私共の場合飽く迄メーカーや作家さんによってつくられた物を私共の主観で選び そして私共の主観で売り場づくりを行なうという それが強いて言えば私共のオリジナリティーと言えなくもないのですが 飲食の方々はそれをつくる事からオリジナリティーを発揮することが出来るのです。
今になって この壁は非常に大きいと言わざるを得ません。
飲食業のオリジナリティー それは創作料理と言い換えることが出来ますが 卸・小売業にあっては叶うことではありません。
勿論 アイデアを練り試行錯誤,試食を繰り返した後 お店に登場するのでしょうが これが目論見通りの名物料理となれば 材料の損耗率はグッと下がるでしょうし 一つのメニューでたくさんのお客様を呼ぶことも出来るのです。
何しろそこでしか味わえないのですから。
しかし もしもその創作料理が私共の器で提案されたのであれば それは私共との合作であったと思っていただかねばなりません。
美味しい料理と良い食器の関係は お互いが主張しあう中にも補い合うという関係であり 相互に呼応しながらコミュニケートしているようにも思われるのです。

投稿者 Sugino : 08:51 | コメント (0) | トラックバック

2007年06月07日

漆器を使う

もとは食器の主役の座を占めていた漆器ですが 今や完全に陶器にその座を奪われた観があります。
今 漆器がその座をキープしている食器といえば 汁椀であり 茶托であり お盆であったりと脇役ばかりになってしまったと言えるでしょう。
そこで 例えば漆器の飯椀を想像してみて下さい。
陶器と違いしっとりと手に馴染み 口当たりも抵抗がなく軽くて扱い易い漆器ですが 黒塗,朱塗,溜塗,春慶塗,摺漆塗とベースは殆どこの5色で 椀であればご飯の白さが際立つはずです。

椀は汁物,或いは高価だからハレの器との考えを捨てて(確かに美しくて堅牢な漆器は高価なものです) ご飯や小鉢物やサラダなどにも 料理に合わせたりセッティングに気を配りながら 貴方の色彩感覚でどしどしお使い戴いては如何でしょうか。
一変した食卓の風景に新鮮さが感じられるはずです。
亦 材質はしっとりと滑らかですから 料理の佇まいを正座の様に正してくれるでしょう。
夏に向かうタイミングとしては不適切な話題であったかも知れませんが 日常を日常でなくすには一寸したアイデアとこんな小道具で充分なのです。

投稿者 Sugino : 06:38 | コメント (0) | トラックバック

2007年05月08日

器の汎用性

貴方に好きな器があるとすれば それはどんな器でしょうか。
器には一つ一つ個性があり 使う側の工夫次第で新たな魅力を発見する事もあります。
そのためには夫々の器の個性を熟知していなければなりません。
使い込むほどに幅が広がるのも良い器の条件です。
この事は何度も書いてきましたが 所謂使い回しの効く器というのは個性的なものより シンプルなものの方が一般的には適っています。
逆に個性的な器ほどこの料理にはこの器と限定されてしまいますが 似合う料理を創作する楽しさもあるように思います。

そうした事からも料理はとても創造的な作業であり 器はとことん使い込んで新たな魅力を発見する事が醍醐味となり 器の個性を知れば知るほど料理のアイデアも広がるというものです。
どうぞお好きな器と末永く 息の合った良いお付き合いをして下さい。

推敲して投稿したつもりですが 今尚 意味不明な文章のようでご容赦下さい。

投稿者 Sugino : 07:42 | コメント (0) | トラックバック

2007年04月09日

色物の器

料理と器の相性も今回で6回目を迎えました。
今月は黄瀬戸や織部,瑠璃釉に朱巻きといったベタ塗りの単一色物の器と 料理の関係について触れてみたいと思います。
先ず黄瀬戸などの黄土色の器ですが この色調は原色黄色の派手さではなく といって土色の地味さでもありません。 
この色合いは 渋味があって奥深い落ち着きを与えてくれものです。
この点 灰釉も同じ事が言えるかと思います。
このようにお感じになられたものであれば しっかり利用価値も高く一品は揃えたいところではないでしょうか。
亦こっくりと深みのある濃緑色の織部は 食卓に温か味を感じさせ 器自体が主張しながらも料理を選ばないという包容力があります。
こちらも一品は揃えたい器と言えます。

とは申しましても この色彩感覚は非常に微妙でありますので 個人差もあり是非現品をご確認の上ご購入戴くのが正解かと存じます。
ほか慶事や仏事そして記念日などの演出に 縁起の原色色物を一点加えて下されば 黄瀬戸や織部に灰釉などの色調はどんな色合いも受け入れますので きっと雰囲気を壊すことなく盛り上げてくれるでしょう。

投稿者 Sugino : 07:51 | コメント (0) | トラックバック

2007年03月10日

焼〆の器

この料理と器の相性というコラムも今回で5回目です。 
今日は焼〆の器との相性をお話しますが 「ものの見方」は十人十色ですので こんな見方もあったんだぐらいに読み流して戴けばよろしいかと存じます。
(焼〆につきましてはこちらをご参考にして下さい)
土を練って成形し釉薬を掛けずに高温で堅く焼く「焼〆」ですが 無釉故ザラッとした肌の土の感触が持ち味です。

力強く存在感のある器ですので食卓を重たくしてしまいますが その重量感がお料理にも反映され大切な一品として格好良く演出してくれます。
同色系の照り焼きなども良く 白い食材なら更にその白さを際立たせてくれます。
秋から冬にかけては季節感を出すために2~3点使用されても差し支えないと思いますが 春から夏にかけては 一点の重点使用とします。
この一点が食卓にメリハリをつけ 一層の清涼感を醸し出すのです。

投稿者 Sugino : 04:41 | コメント (0) | トラックバック

2007年02月05日

色絵の器

白,黒,染付と参りました。 今月は色絵の器です。
九谷焼や京焼,古伊万里などに見られる赤や緑に黄色 それに金銀などの顔料を使った雅な器です。(今は有害顔料は一切使われていません どうぞご安心下さい)
この器にはこの一品を,そして食卓に華を添えたい そんな時の取って置きの器です。
と同時に眺められる器でもあります。
ですからこれに耐え得る絵付けでなければなりません。

そして絵柄が主張しながらも決して料理の邪魔をしない ここがこの色絵食器の品選びのポイントとなります。
亦 この器は料理と共に作家の個性も併せて楽しめます。
配膳や盛り付けに慣れてこられれば最も楽しめる器でもあり 新しくお求めになられる場合も選び甲斐のある食器です。
ただ 食卓全てが色絵食器ですとどうなりますか。
賑やかなばかりで 落ち着きのない食卓になってしまいませんか。
1~2点に留めたほうが無難なようです。

投稿者 Sugino : 05:16 | コメント (0) | トラックバック

2007年01月06日

染付の器

白,黒の器と参りましたので 3回目の今月は染付です。
全ての陶磁器食器の中で 最も生産量が多いのがこの染付です。
最大の理由はどのような料理を盛ってもシックリと馴染み 確り受け止めてくれるという懐に深さにありますが 無地ではチョット寂しい 料理の下に絵柄が見え隠れするというところが 想像を膨らませ食事を楽しくするということではないかと思っております。
白地に藍のコントラストも清々しさを演出します。

料理ばかりではありません。 器同士の相性も幅広く抜群です。
透明釉を掛けての下絵付でありその全てが磁器質であるところも 電子レンジやオーブン料理を可能にし 食洗器で洗浄されても絵柄が剥げることなく扱い易いという点が 普及している要因なのではないでしょうか。
無難な主菜の器として 白い食器同様お勧めです。

投稿者 Sugino : 05:52 | コメント (0) | トラックバック

2006年12月05日

黒い器

imgutuwanoaishous.jpg先月より始めました「料理と器の相性」についての2回目です。
先月が白い器でしたので 今月は黒い器について触れてみようと思います。
黒い器も白同様 天目あり鉄釉あり瀬戸黒ありと こちらも様々な表情が楽しめます。
ただ メインディッシュに黒では大胆過ぎてと 尻込みされている方も多い事でしょう。
確かに黒はシャープな印象で 迫力もあります。

最近の外食分野では 他店を意識されてかこの黒を採用されるところが増えて参りました。
しかし残念ながら 私もどのように利用されているのか殆ど確認していません。
食わず嫌いでお料理が映えないのではと 心配されるのも無理からぬところですが お料理の下に酢味を馴染ませた薄切り大根などを敷くなどの一工夫で スタイリッシュな演出も可能ではないかと思われます。
このようにダイナミックさと細やかさを同居させるのも 食卓に変化を持たせます。
白のようにオールマイティーとはまいりませんが 黒い器で一寸冒険してみませんか。

投稿者 Sugino : 06:15 | コメント (0) | トラックバック

2006年11月04日

白い器

imgutuwanoaishous.jpg先月お約束した「料理と器の相性」パート1です。
器の価値は言うまでもありませんが 飽くまで料理あってのものです。
私達が食卓に並んだ料理を見て美味しそうだと感じたら そこには料理と器の相性があって器の持つ形状や質感 それに色彩が料理と絶妙に調和しているからなのです。
このように器には料理の美味しさを高める力があります。
ここでは見る人によっても受ける印象が変る種々多用な器と 料理特に和食との相性について触れてみたいと思います。

先ずは白い器。
一口に白い器と申しましても 冷たささえ感じるキリッとした白磁の白や 和らいだ温か味を感じる粉引など 微妙に表情が違いますので一概に言及することは出来ませんが 何れもそのシンプルでクールな持ち味は どのような食材の色も引き立たせ上品な演出が期待できます。
亦 この白の器をベースに使えば他の器とも喧嘩する事がありません。
更にこの白は膨張色でもありますので メインディナーを盛り付ける10吋(26cm)程もある大きなお皿を用意しなくても 一回り小さめで然程窮屈さを感じる事もなく充分です。
このようにオールマイティーな白い器は きっとどのご家庭でもとても重宝されているのではないでしょうか。
基本の器と考えます。

投稿者 Sugino : 07:22 | コメント (0) | トラックバック