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2008年05月08日

交趾蓋向

今回は蓋のある器というものについて触れてみようと思います。
蓋付の容器には飯碗、湯呑、蒸し碗、丼、飯器、向付、吸物椀、甕、蓋物などがあります。
この蓋の主たる役割は料理の温度を変化させず 作り立てを維持するという事にありますが 他にも収納に際しては臭気を逃がさないよう そして召し上がる方には蓋を開ける楽しみをつくるという事などがあります。
用途別に器に名前が付けられていて 向付に蓋をつけた蓋向(小振りで小深いものは円菓子碗と呼んでいます)には 小田巻蒸しやちり蒸し,炊き合わせ等を入れますが 何でもない煮物や丼物でもこの様な蓋物に盛れば お昼の立派なご馳走となります。
つまり蓋があることによっておもてなしの雰囲気が出来て 勿体をつける事となるのです。
亦 蓋も身と同じように装飾を施し手間を掛けることにより より一層見えない料理に対して神秘的な効果をもたらすことになります。
更に器そのものの見えない部分 蓋の裏(見返し)などにも装飾を施したものがあり 料理ばかりでなく器に対しても 蓋を開けた瞬間一寸サプライズして戴こうという趣向です。
このように身と殆ど同じ手間を掛ける蓋付の食器というのは 蓋のない食器が2個買えるとお考えいただいて殆ど正解です。

日本人は唯単に空腹を満たすために料理するのではなく 召し上がる方の心理面を巧みに利用して調理し盛り付けていますね。
みどりの日から 意識して緑を続けて記事にしました。
明日からは趣向を変えます。

投稿者 Sugino : 2008年05月08日 08:48

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