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2015年06月07日

関の包丁

過っては名刀の里と呼ばれ この地で名工たちのつくる刀は質実剛健 折れず,曲がらず,よく切れると三拍子揃った名刀を次々とこの世に出してきました。
秀吉や信玄といった戦国武将を始め 沢山の武将たちが帯刀し 実戦での成果を挙げてきたのです。
此れ偏に室町期には300名をも超えたと言われる 刀鍛冶職人の妥協の無い職人魂の産物でありました。
中には「孫六兼元」や「和泉守兼定」といった 超の付く名工も数多く輩出しています。
やがて幕末に入りますと 本格的な武器は鉄砲へと移り その後の刀剣は美術品として残る運命となります。
しかし戦後はこの刀剣に変わり その技術をそのまま生かせる庖丁づくりの刃物の街へと
 関市は変遷して参りました。
さて日本の懐石という繊細な料理を例に挙げれば 料理人はお気に入りの自分の庖丁一本で コース料理を仕上げてしまいます。
当に此れが日本の庖丁文化ともいえるもので 流派も多く,捌いて盛り付ける技術は他に類を見ないものであります。
鋭い切れ味の庖丁で捌かれた食材は 切り口も綺麗で盛り付けられた料理などは 勿体なくて手が付けられないような 完成した美術品を目の当たりにする錯覚に捉われます。
そしてこの庖丁の製造工程の中でも 最も重要とされるのは「刃付け」と呼ばれる作業で 3年以上の経験を経た職人のみが許される工程であり 削りすぎては欠けてしまい 微妙に厚ければ切れ味に影響するといいますから そのサジ加減はベテランのみが修得された技術と言えるのです。
そして選ぶ際の価格に因る判断ですが 高ければ切れ味も良いとは限らず 飽くまで材料の価格に因るものだと断言されました。
この点は是非ご記憶に留めておいて下さい。
つくり手が目指しているものは 如何に力を入れずに切れる庖丁をつくるかという事で この会社では切れ味を試すため 月に数百本の人参を使うそうであり 著名な料理人からも専用包丁の製作依頼がひっきり無しという事でありました。

投稿者 Sugino : 2015年06月07日 11:19

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