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2015年02月22日

能作の錫製品

先日、250年続くたち吉が投資ファンドの経営建て直しを受けるニュースが飛び込んでまいりました。伝統、老舗、この言葉が何の意味もなさなくなってきているのでしょうか?
富山の高岡は商工業の町として加賀藩主・前田利長の時代より発展して参りました。
取り分け銅器と漆器は今でも続く伝統産業となっているのですが その中でも鋳物製造の鋳造技術は 本日話題と致します能作の錫製品にも生かされています。
能作は代々の生業である鋳物製造を それまでの仏具や茶道具に特化せず もっともっと違った形で一般社会に広めて行けないものかと考えます。
そこで銅や真鍮に変わる素材として 着目したのがこの錫でありました。
金銀に次ぐ高価な素材であっても 錫の持つ環境に優しく(100%リサイクルが可能)アレルギー体質の方にも安心して利用でき その上分子が粗く不純物を吸収して水を浄化する という特質に着目し錫食器の生産を決意します。
普通は柔らかい錫に他の金属を加えた合金を使って製造に入る処 彼は100%の錫に拘ったため試行錯誤の連続が始まります。
ここでヒントとなったのが「いっその事 このよく曲がるという柔らかさをウリのしてみては」という言葉でありました。
このマイナスイメージをプラスに転じた逆転の発想は 錫を使った食器の製造という原点を変えることなく 当に救世主となったのであります。
金属なのに何処か温かい そんな錫食器は機械化による製造ができず 全て精緻な手作業での鋳造技術を以ってして 完成されます。
柔らかい錫は女性の力でも簡単に変形します。
その時発する「ピキピキ」という音は 外国でも「Tin Cry」と呼ばれ 100%錫食器の証として珍重されるに至ったのであります。
こうして今では100を超える品揃えとなり 錫を産出できる土地柄ではないこの高岡で 錫製品の製造が新しい伝統産業に成長する切っ掛けとなれば との思いを抱くに至ったのであります。
追記として 彼の印象に残る次の言葉を記します。
「伝統とは 守りながらも 私たちが新しく創り上げていくものです」

投稿者 Sugino : 2015年02月22日 13:41

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