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2013年06月08日

賄い食


賄い食という言葉がありますが これはお店のお客様の間隙を縫って 調理場の皆さんが食事をする その食事のことを指しています。
飽くまで調理人の方たちのメニューであり 謂わばお客様向けのメニューには掲載される事のない裏メニューであります。
しかしこの裏メニューが 表に出て日の目を見るといったケースも偶にはあるのですね。
嬉しい誤算と言ったところでしょうか。
そんな事例(新宿 すずや様)を 「毎日夫人」が掲載していましたので ご紹介させていただきます。
新宿 すずや様は 群馬の麦豚を使ったトンカツを中心にした飲食のお店でありますが こちらでチョット聞き慣れないメニューである 「とん茶」がご紹介されていました。
とん茶とはトンカツ茶漬けのことでありまして 最初から茶漬けとして供されるのではなく 普通にトンカツとご飯が夫々の器に盛られて出されますから 先ずは一般的なトンカツにご飯という戴き方をします。
その後 残したご飯にこのトンカツと付け合せである炒められたキャベツを載せ 茶漬けにして召し上がる というこんな作法なのですが トンカツと茶漬けの両方を楽しむという発想は あのヒツマブシを連想させますね。
因みにご飯は勿論コシヒカリ 茶漬けに使うこのお茶も 静岡大井川流域産の「秋冬番茶」を厳選しているのだそうです。
そしてソースですが 一般的な洋食としてはトンカツソースということになるのですが 何とこちらでは和風の醤油味で 調理の折に鉄板の上から掛けられまして 何とも香ばしい香りが漂ってきます。
これに先程のお茶を掛けますと お茶が揚げ物の油をスッキリさせ シンナリと水分を吸った衣は 何ともいえない不思議な食感に変化するのだそうです。
甘党を自認していた森鴎外は ご飯と饅頭にお茶を掛けたと言われていますが 冷えたご飯を美味しく戴く人の知恵が こちらでは確実に生かされていますね。

ところでこのとん茶。
半世紀以上の歴史の中で この料理をこよなく愛した文化人もたくさん見えるようであります。
例えばこのお店のメニューの表紙や看板には 棟方志功の版画が採用されています。
地元の方なら毎日でも通えるのでしょうが 地方の方であっても新宿のど真ん中,歌舞伎町という立地で 赤い大看板が目印ですから何方でも直ぐに探せますよ。
しかし可也,突飛な発想の料理ですから 一度ご家庭でお試しになってからお店へ試食に伺いましょうか。

投稿者 Sugino : 2013年06月08日 14:55

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