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2012年09月11日

天草の磁土

陶祖・李三平が発見したのは泉山陶石場 その後,天草に優良な磁石場を発見して以来 有田焼は磁器生産の発展の歴史を辿ります。
磁器の持つ肌合いは しばしば女性に喩えられます。
その代表的な絵柄は 写真のように可愛く小花をあしらった器でありますが。
全体の形も 女性好みの優しい柔らかなフォルムや風合いを意識しているため 素材の磁土選びに至るまで細やかな配慮が欠かせません。
磁土は天草陶石の中でも選上(えりじょう)と呼ばれる最上質の磁土を使用し 透明感のある滑らかな地肌を生み出しています。
(陶石はこの他 選中,選下とランク付けされています)
また焼物の表面を飾る釉薬は 黄地がかったオリジナルの柞灰(ゆすばい)を使い 全体が黄色がかった柔らかな風合いをつくり出しています。
この柞灰は表面がしっとりとして 器の雰囲気を和らげる効果もあるのです。
またマグカップやボウルなどの渕は 女性らしい柔らかさを引き出すため 素焼きされる前の,生地が柔らかい間に 内向けに成形しています。
何れにしましても 食器の原料となる磁土や陶土は 選択できる今は良いとしても 何れは枯渇してしまう有限資源であります。
この事は何れの出土地であっても 事情は変わりません。
産地の生産者におかれましては この事を最も重要な課題に掲げ 無駄なものをつくらないという取り組みを最優先していますが 私たち消費者と致しましても 命あるものが何時か壊れるまで 大切に使っていきたいものだと強く感じているところであります。
何時かは古の原点である木のお椀が飯椀に戻ってしまうような そんな時代が必ずやって来るのですから。

心和む自然のモチーフを採り入れた模様も この選上の天草磁土と共に発色の良い上絵具が使用され 華やかさが演出されているのです。

投稿者 Sugino : 2012年09月11日 00:04

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