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2012年09月03日

センブリ

元はこの「ハーブ&スパイス」という範疇を 料理や器のご紹介にもお役に立つ話題として 料理に味や香りのアクセントを添える植物を対象にしたつもりでありましたが 今日のセンブリはチョット脱線してしまったようです。
とても料理のパートナーとは言い得ない 薬草の代表格のような植物ですから。
「良薬口に苦し」の言葉通り センブリは千回振り出しても(煎じても)なお苦いことに由来し 最も苦い生薬の一つと言われています。
薬用としては開花期の全草を用い 下痢,腹痛,胃腸虚弱の方が乾燥させて煎じるか 粉末にして服用されています。
我が国ではこのセンブリはドクダミやゲンノショウコと並ぶ著名な薬草で 当薬の別名を持つ固有の品種であり 従って漢方にこのセンブリは存在せず そして更に付け加えるなら 当薬引きは俳諧歳時記で秋の季語にもなっているのです。
また「専ら当薬で子供の肌着を黄色に染め 蚤,虱から肌を守るのに使っている」とか 「糊に当薬の煮汁を混ぜて裏打ちし 屏風を張れば虫が湧かない」 等といった防虫作用の効果を記した同様の記述も幾つか見受けられるようであります。
それに致しましても 人はよくこの様な自然の植物から 恵みともいえる薬効を発見したものですね。
好奇心に観察力 それに自らの人体実験も繰り返し行われていたに違いありませんから 一体どれだけの人が犠牲になったことやら。
最後に私と致しましては写真を見る限り 可憐な花とその姿がセンブリという薬草の連想へと結び付かないのですが 皆様は如何でしょうか。

今ではこのように殆ど苦味健胃剤として使用されているのですが この苦味の正体は苦味配糖体と呼ばれる幾つかの物質で これらの化合物は毛根を刺激し発毛を促すため 養毛トニックなどにも配合されていると言われています。
さて真理の解明は一体何処まで進むのでしょうか 楽しみでもあります。

投稿者 Sugino : 2012年09月03日 01:29

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