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2011年08月20日

コンプラ瓶

このボトルはコンプラ瓶と呼ばれています。
仲買を意味する ポルトガル語の「コンプラドール」が語源で 輸出用の醤油やお酒を詰めたボトルであったようであります。
このボトルを語るについては 少々波佐見焼の歴史を紐解く必要があるように思います。
永らく波佐見焼は 有田焼や伊万里焼とほぼ同一地区,同一時期の発祥でありながら 有田焼,伊万里焼という名の下に呑み込まれていた時期がありました。
この点 美濃焼が瀬戸焼に呑み込まれていた(?)のとよく似ています。
そしてこうした地理的,歴史的要因ばかりでなく 同様に同じような磁器を生産していたことが影響したのかもしれません。
しかし同様の磁器の生産ではあっても 青磁をつくる技術においては 肥前でもトップレベルのものであったようで ここは特筆すべき点でありましょう。
そして17世紀に入りますと 長崎の出島を通して主に東南アジア地域へと輸出されるようになり ここで産業としての礎が築かれることになります。
しかし当時,磁器の使用は庶民にとって 高嶺の花。
これを庶民に近づけたのが この波佐見焼であります。
江戸期,淀川を行き来する三十石舟の客を相手に 酒や飯を振る舞う上方商人から これに使う日常食器の注文を一手に引き受けたのです。
この時つくられたのが 庶民向けの「くらわんか手」でありこの「コンプラ瓶」なのであります。
このように磁器という高価な器を庶民に近づけ普及させたのは この波佐見焼の最大の功績であるといえるのではないでしょうか。

現在,波佐見焼は伝統工芸品に指定されていますが 工芸品に偏りつつある磁器を 今後も日常の器としてつくり続けて行くに違いありません。

投稿者 Sugino : 2011年08月20日 05:56

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