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2011年01月05日

志野について

美濃の伝統技法を黄瀬戸そして織部と2種綴ってまいりましたが 今日はこの最終 此れで締めたいと思っています。
それは志野です。
志野の名工 荒川豊蔵氏や鈴木蔵氏を輩出した美濃の地でありますが 歴史を紐解きますと 志野の輩出は何と不出来な失敗作の副産物が発端であったと言われているのです。
あの温かみのある色合い 力み過ぎず弱過ぎない程良い風合い 日本人の誰もが心情として 好感を持って迎え入れるあの志野がどうしてなのでしょうか。
この点に付きましては 二日前の黄瀬戸のページでご紹介しましたように 元々美濃焼は瀬戸焼を支える一つに窯に過ぎない存在で 当時は中国の天目釉や青磁の写しを柱としていました。
その後中国より白磁が輸入され 美濃の陶工たちはこの透明感のある美しさに魅了されます。
しかしながら美濃の地には この白磁の白磁胎にあたる土がなく あるのは白っぽい粗い粒子の粘土ばかりでした。
そこでこの粘土に着目し 透明釉ではなく長石単味が失透する釉薬としての白釉をかけて出来たのが この志野であります。
素地と釉薬の制約から 白磁焼成の副産物であったという次第なのです。
その後これが利休提唱の創作茶道具と結び付き 焼き物としての一つの世界を築いて今日に至っているのであります。

絵志野 紅志野 鼠志野(写真)など 夫々の風合いをお楽しみ下さい。

投稿者 Sugino : 2011年01月05日 23:07

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