« 清水焼の灯り | メイン | 織部について »

2011年01月04日

黄瀬戸について

美濃焼の三器種と呼ばれているのは 志野と織部そしてこの黄瀬戸であります。
粗めの黄白色の土を下地として 表面はしっとりとした柚子肌のような潤いを感じさせるこの黄瀬戸。
写真は光沢のある黄釉を全体に施し 線彫りと深い緑で野の草を描いたタタキ皿で 木の葉のような形状も黄瀬戸らしさを強調しているように思われます。
そして黄瀬戸は写真のように 「胆ばん」と呼ばれる緑の斑点をあしらうのが その特徴の一つでもあります。
では最初に この黄瀬戸のご紹介で美濃焼の三器種の一つと申し上げましたが 何故美濃焼でありながら黄瀬戸と瀬戸の名が付いているのでしょうか。
それは江戸期まで 六古窯の中でも最も古い瀬戸窯が 息のかかった周辺の美濃窯,信濃窯,伊勢窯などを取り込んで それら全ての焼き物を瀬戸焼と称していたことに由来しているのです。
しかし周辺の窯の中でも特に独立自尊の気風に溢れた美濃窯では それまで日本にはなかった白釉を開発したことによって生まれた志野 利休の創作茶道具の提唱から生まれた古田織部の織部 焼成中に窯から取り出し急冷させ漆黒の釉を得て生まれた瀬戸黒 そしてこの黄瀬戸 そのどれもがこの美濃の地から生まれたのは正真正銘 歴史が物語る事実であります。
このように美濃焼は 多用な技術開発のその遺産を今に残し伝えているのです。

今でこそ焼き物には その土地で生まれた夫々の固有の名前が付けられていますが いまでも誤解を生じさせる名称が 当時はそれでよかったにせよ そのまま残ってしまったのですね。

投稿者 Sugino : 2011年01月04日 05:30

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.sugino-toki.com/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/1911

コメント

コメントしてください




保存しますか?