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2009年10月29日

和食器の形状

以前 陶器にもっともっと親しんでいただこうという事で 器の各部の名称をご紹介したことがありました。
陶器店を覗かれますと 商品には絵柄や形状を表す品名がプライスカードに書かれていますが 正確にこの品名を読める方は非常に少ないように思います。。
食器は丸型,正角型,長角型とこの3種が基本の形状ですが 全体が全てこれですと変化も面白さもございません。
そこで色々と変型の器が考案されたのですが これが業界特有の言い回しであったりしまして 一般の方には分り難い言葉が多いのであります。
業界自らがハードルを高くしている一面であるように思いますが 今つくられた造語ではなく伝統的な文化という風に捉えていただければ良いかと存じます。

そんな訳で今日は食器の形状の名称です。
先ずは写真の片口(かたくち) 片方に注ぎ口が付いたもので鉢に多く見られますが 実際に液体を注ぐこともあれば 料理の器として食卓のアクセントを担うだけの場合もあります。
次に上記3種の基本形に次いで多く見られる楕円(だえん亦は小判型)。
この楕円の4隅を窪ませた形は モッコウバナの形に似ているところから木瓜(もっこう)と呼ばれています。
他 前述の正角は四方(よほう)とも長角は長手(ながて)とも呼ばれたりします。
亦 自然界の造形を模したものも数多くあります。
代表的なものは柏や笹の葉,銀杏などの木の葉型(このはがた)。
この場合セッティングは何れも葉先を左にします。
他に瓢型(ひさごがた)や梅型(うめがた)に菊型(きくがた) 蛤(はまぐり)に開扇(かいせん) そして六角の亀の甲羅を模した亀甲(きっこう)なども お目出度事には相応しい形でよく見かけます。
まだまだあります。
熟した山椒の実が爆ぜた様子を表した割山椒(わりざんしょう)
これは深めの小鉢や小付に見られる三方に深い切り込みが入りやや口が開いた形で 秋の器となります。
そして綴じ目(とじめ)。
器の渕に重なりを持たせ 糸で綴じ合わせたようにデザインされた形。
この綴じ目の部分が洗い難いと仰る方もみえます。
更にこれも一般的でよく見かけますが 弦月の形をした半円形の半月(はんげつ)。
器の渕に規則的な切込みを入れて花の形にした輪花(りんか,輪花渕のように使われることが多い形状です)。
そして隅切(すみきり)。
縁高重がその典型ですが 四角の四隅を小さく斜めに切り落とした形で 皿鉢以外にもお膳やお盆などにも見られます。

まだまだありますが 何れも最初に申しましたように 食卓を全てこの変型の器でカバーしますと 賑やかになるばかりで統一が取れなくなります。
飽くまでテーブルのアクセント 或いは強調したいお料理のみにご使用下さいますようお願い申し上げます。

投稿者 Sugino : 2009年10月29日 06:37

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