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2008年04月30日

九谷の近代画風

先月は六つの九谷の伝統画風をご紹介しました。
その画風は今もって使われ造られてもいるものばかりでありますが 勿論これで終結したというものではありません。
幾多の気鋭の作家によって 今も革新が行なわれています。
その内の4点をご紹介しましょう。
先ずは青粒。 「あおつぶ」と書いて「あおちぶ」と発音してください。
これも大正期に広まったデザインですが 比較的ファンも多くポピュラーなデザインなので きっと何処かでお目にかかっているかもしれません。
地色の上に青粒と称する細かな緑のドットを盛り上げ そして並べるという手法で鮫皮のような仕上がりです。(盛り上げないで描いたものもありますが 手間と印象が全く違います)
緑の他に白粒,金粒とありますが 何れも重厚感と共に上品さも兼ね備えています。
次は銀彩。
銀箔を貼り付けた上に透明釉をかけるため 箔がはがれない上黒く酸化しないというメリットがあります。
(銀器や上絵銀彩の食器は放置すれば必ず黒ずんで錆びてしまいます 使わない間はビニール袋に空気を抜いて仕舞っておかれるようお勧めします)
そして透明釉を通しての絵付けは柔らかく 抑えた質感が上品さを醸し出します。
更に次は釉裏金彩。
普通の金彩は釉薬の上に金箔を貼り付けますが こちらも上記の銀彩同様 金粉や箔を貼った上に透明釉を掛けます。
そのため釉薬を通して金が浮き出てくるような仕上がりで 金ながらしっとりとした上品な輝きがあります。
写真は人間国宝・吉田美統さんの飾り皿です。

最後は釉彩。
赤,緑,黄,紫,紺青の五彩の釉薬を 上釉(うわぐすり)のように器全体に塗り埋めます。
二種以上の釉薬を重ねて掛けることにより 段階的に色彩の変化を楽しむことが出来 優美で鮮やかな図柄が描き出されます。
この手法は九谷の巨匠である德田八十吉さんが 人間国宝の認定を受けた作品の手法です。

他にも常に進化している九谷の図柄は ご紹介し切れません。 
本日はここまでとさせていただきます。

投稿者 Sugino : 2008年04月30日 02:29

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