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2007年10月25日

コッペリア

これは未だ昭和の時代に ノリタケがコーディネーターのフローレンス西村さんにデザインを依頼されて造られた 「コッペリア」という絵柄のカップソーサーです。 
昭和50~60年の時代と言えば 私達の業界ではブライダル市場華やかなりし頃で 食器メーカーは挙って市場へ続々新商品を投入していました。
今は廃盤となりましたが 当時としては10年程継続生産されたロングセラー商品となったもので この商品にヒット商品の要因を見つけてみようと思います。
少々大袈裟かも知れませんが当時の時代背景と申しますか 若者の控え目な奥ゆかしき心情を発見できるかも知れません。
亦 この写真を見られて「家にあるのと一緒だわ」と仰る方も 結構みえるのではないでしょうか。

これまでもしばしば書き留めて参りましたように 洋食器の場合は一つの統一柄で40ピース前後のディナーセットとしてトータルで購入されますが その為に一つ間違えますと全てが気に入らなくなるというリスクを孕んでいます。
ですからギフト対象の商品開発と違って 日常実際に使われる状況を念頭に置きながら しかも店頭に陳列された状態も把握した上 如何に他の商品と差別化されているかというところがポイントとなります。
そしてブライダルと日常使いを両立させた提案となりますと 甘さや優しさの他にも色々な要素を盛り込みたいと考えがちですが 全てを盛り込むことは不可能に近いことですし 万一盛り込めたとしても意味不明な製品になってしまいます。  
この「コッペリア」の場合は モチーフはロマンチックで優しいイメージの桜草。
色遣いは淡いピンクと少しくすんだオリーブグリーン。
絵柄はどんな料理でも盛り付け易く控え目に付けられています。
向かい合った二人が使いますのである程度の甘さは必要ですが 甘過ぎると暫くして使用に気恥ずかしさを感じてしまいます。
これはそのギリギリのところで抑えられたデザインといえます。
見込みの中心にポイント柄をあしらったことも 当時の洋食器としては新鮮な印象を受けました。
勿論単品扱いでもあり 買い増しや補充にも対応した商品でありました。

投稿者 Sugino : 2007年10月25日 09:03

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