« フラットケットル | メイン | 薬草土瓶 »

2006年03月02日

預ける

懐石にはいろいろと約束事があって大変だと思われている方も多いことでしょう。
私もその一人ですが。
約めて言えば その約束事の多くは長い歳月の中で収れんされ 無理無駄を省き去った簡素なもてなしであり もてなし,もてなされる人の心の行き着いたエッセンスであると思われます。
それだけに奥深いものであるとも言えます。                    移り行く季節に折り目をつけ 主客ともども心を尽くす茶事。
この心のかよい合いを一座建立という言葉で表現しています。
ここに人と人の交流の基本を見る思いがします。
商いも一期一会 かくありたいと思うばかり。 付焼刃を承知の上で書かせていただきました。

写真は 「面取風炉釜セット」 茶事では五月より炉が風炉へと変り万事夏の装いとなります。

元より私自身茶の道を修めた者ではありませんが 日頃の商いの中で目にし耳にするものの大半が 元を質せば茶道に辿り着いてしまいます。
ここでは日頃の商いを通して気付いたことに 少しずつ触れていくことにします。

<預ける>

調べますと 「お点前中道具類を仮置きすることを預けるという」とあります。
私共の扱う商品の中にも 預け鉢やお預け徳利というのがあります。
これも茶道の「預ける」という言葉が基本で 亭主が「勝手でお相伴致しますから どうかごゆるりと」と挨拶して預けていく大き目の徳利 そしてやや大振りな鉢のことを指しています。
この預け鉢に盛られた肴を強肴(しいざかな)と言い 留節の竹箸が添えられます。
これは心ゆくまで美味しくお酒を味わうための肴 酒を強い勧める肴ということからこう呼ばれています。
魚菜の炊き合わせや酢のものなどを盛ります。
因みに肴は辞書を紐解きますと「酒菜」からきた字で 主の酒に対して副の食べ物という意味であるようです。
もっともこの副には 酒盛りの余興としての演芸等も含まれているらしく 必ずしも食べ物とは限らないようです。
 今夜も旨い酒と肴に巡り会えるでしょうか。

投稿者 Sugino : 2006年03月02日 14:48

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.sugino-toki.com/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/111

コメント

コメントしてください




保存しますか?